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    mocha_pl_FF14

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    FF14でラハ光♀(自機)を書きたかったがただじゃれてる二人
    パッチ2.1古代の民の迷宮攻略後のイメージ
    ジョブ描写あります(召喚士、メインジョブではない)

    アラグの秘儀をご覧あれ 聞き慣れぬ騒がしい、しかし不快にはならない活力のある声。それに釣られるようにグ・ラハが顔を覗かせると、普段いない冒険者の一団が聖コイナク財団の調査地に常駐するギルドリーヴ担当官の前に集まっていた。
    そのうちの一人、見覚えのあるような小さな影がこちらに振り返り数瞬辺りを見渡し、そして目が合うと笑いながらこちらへ駆け寄ってきた。
    「ああいたいた!」
    「誰かと思ったらやっぱあんたか!」
     近付いてきた顔は見慣れた女性、エオルゼアの英雄である冒険者、その人だった。グ・ラハが笑い返して手を上げ挨拶すれば、彼女も同じように軽く手を上げる。
    「いつものローブと違うよな? 遠目じゃ全然分からなかったぜ」
    「今日は癒し手(ヒーラー)の仲間がいたから、久し振りに攻撃術士(キャスター)に回ったの」
     言いながら、追いついて擦り寄ってきたカーバンクルを優しい手つきで撫でる。
    多芸なもんだとグ・ラハが感心してカーバンクルへ視線を向けていると、彼女はああ、と思い立ったように再びこちらを見上げた。
    「そうそう、貴方に見せたいものがあって」
     待ちきれない子供のように喜色満面の笑みを浮かべているのはいいが、それが何事かは皆目見当が付かない。訝しがるグ・ラハを他所に冒険者は全身を使いながら辺りを再び見渡して、「あれがいい」と目星をつけたようだ。生活拠点にしているこのキャンプから道を挟んだ向こうに結晶化した木が生えている。
    「アラグ文明の研究者なら間違いなく喜ぶと思うんだけど」
    「……あんたの巴術が?」
    「まあまあ、見ていれば分かるから」
     魔道書を手に構える姿はごく普通の巴術士と変わらないように見える。適性がなかったとはいえ彼もアラグ文明、魔科学を研究するにあたって調べた巴術について造詣があるつもりだ。そんな身に何を見せようというのだろうか。
    仕方なく黙って見守るグ・ラハをよそに冒険者はエーテルチャージを済ませ、魔力を帯びた状態のまま顔を伏せている。普通ならばこのチャージ状態の間は強化された魔法が扱え、時間経過でエーテルが馴染むとカーバンクルを媒体に宝石の属性に応じた召喚が行えるはずだ。
    「さん、に、いち……よっし、準備万端」
     しかし結局彼女は何をするでもなく待った上で、漸く視線を上げた。そして巴紋へ力を奔らせると左手を真っ直ぐと木へと伸べる。
    「来たれ、イフリート!」
     大仰な声と共に侍っていたカーバンクルが宙返り、光を放った。その澄んだ白い光から出てきたのは赤い影。つまりはカーバンクル・ルビー――ではない。
    「なっ……おい、こいつは……?!」
    「ふふふ、分かった? 蛮神のエーテルと同調して生み出した使い魔、エギ……つまり古の召喚術!」
     驚きのあまり目を大きく見開いた。現れたのは明らかにただの使い魔じゃない。術者以外のエーテルが籠もった存在……彼女の言うエギそのもので間違いないだろう。言葉を失う姿を見て冒険者はしてやったりと言いたげに昂然とした瞳で笑みを浮かべていた。
    小さくも覇気を纏う赤いエギが水晶の木に近づき咆哮を上げるかのように天を仰げば、途端に火柱が勢いよく立ち上る。後には粉々になった結晶の破片のみ。
    ……なんてこった、まさか実物をこの目で見る日がくるなんて。それもこのエオルゼアの英雄が使っているときたもんだ!
    「あれが蛮神イフリートの使っていた大技、地獄の火炎。……どう、驚いた?」
    「ああ、当然だろ! 闘神の召喚術なんてまだシャーレアンでも復元できてなかったのに、あんたどこでそんなの覚えたんだ!」
     飛びかかってしまいそうな程の勢いで詰め寄ってしまったグ・ラハに対し、冒険者はというとくすくすと笑い声を上げる。彼女としてはこれだけ興味を引くことが出来たようで大満足らしい。
    「ここの調査員だというヤ・ミトラが色々と教えてくれたの。この辺りの遺跡で資料や装束も見つかったんですって」
    「あーくそ、そんなの知らねーぞ……?! な、なあ、もっと見せてくれないか!」
     グ・ラハは後悔にがしがしと頭を掻いたが、それよりも好奇心が抑えられず今度は目を輝かせた。自分でもどうかしていると思うぐらいにあれもこれもと感情で溢れているがそれぐらいの大発見なのだ。こんなのシャーレアン本国の巴術やアラグ文明の研究者が見たら卒倒ものだと興奮が止まらない。
    だというのに彼女は勿体ぶったように人差し指を唇に添え「どうしようかしら」なんて宣うのだ。
    「いいだろ別に減るもんじゃねーし!」
    「どうしても?」
    「っ……どうしてもだよ、どうしても!!」
     にまにまと意地の悪い笑みを浮かべているのが腹立たしい。腹立たしいが大人しく引き下がれるようなもんじゃない。吠えて頷いてやって、そこで彼女はご満悦といった顔で頷いた。
    「素直でよろしい。では交換条件を一つ」
    「まだなんか言うのかよ……?!」
    「他にも見たがってる人がいるから大事になる前に取り纏めて。ね、お目付役さん?」
     はっとなって振り返れば、キャンプ地に残っていた調査員達がざわめきだしていた。いや寧ろ騒ぎが起こり始めていた。
    よく考えずとも、ここにいるのは古代アラグに関する研究者の集まりなのだ。分野が違ったとしてもこんな実物を間近で見せられたら落ち着いていられるわけがない。
    「……だああ! 分かったよラムブルースに声掛けてくっから!
     戻ってきたら見せろよ!!」
    「それは当然。じゃあ、よろしくね」
     悔しい話だがここまでの騒ぎとなると独り占めできそうにないし、そもそも彼女の言うとおり纏まりのない騒ぎのまま放置も出来ない。一刻も早く続きを見るべくグ・ラハが駆け出す瞬間、他人事のように手をひらひらと振る姿が見えたが、最早そんなこと気にしている場合ではあるまい。
    今日の報告を真面目に聞いているラムブルースの元へ飛び込むまであと少し、その少しの時間も惜しいぐらいだった。
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