悪夢か正夢か逆夢か吉夢か深夜二時頃。突然の来客通知に起こされてインターフォンを覗けば妙にニコニコした表情の降谷が映った。そしてすぐにスマホが鳴りインターフォンの画面では降谷がスマホを耳に当てている。確認することも無いかと着信は無視してドアロックを解除した。
「……どうぞ」
数分して玄関のチャイムが鳴る。いつも通りに開ければすぐさま入ってきた降谷は後ろ手に鍵をロックしつつ抱き締めてきた。あまりに突然のことに無抵抗で抱き締められていると降谷が震えていることに気が付く。そっとその背に両腕を回してなだめるように背中を撫でた。
「……このままでいいからリビングのソファーに行きますよ」
ゆっくりと後ろへ足を進めれば降谷も器用に靴を脱いでその分だけ足を進める。ようやく到着してソファーへ座ろうとすれば降谷は同じように膝を折って二人で腰を下ろした。降谷の震えは止まらない。片手は背中に、もう片手は後頭部へ持っていきゆっくりと撫でてやる。降谷の金髪がさらりと指を通って気持ちがいい。
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