元稲荷崎の同級生グループラインしか殆ど使わないスナが、俺だけに個人的に写真を送ってきたので嫌な予感はしていた。
『意味が分からん。どこそれ』『俺のカバン抱いて寝てる菅原くん♡』『どこやって』秒で返信した後、居酒屋のHPリンクが送られてくる。
「早かったね」
「どおゆう状況やねんこれ」
「侑と菅原くんで、菅原くんのお持ち帰り賭けて飲み比べの結果」
「ハァ!?」
デカい図体で座敷1畳分占領している侑は仰向けに転がって、蹴飛ばしたくらいでは起きそうにない。スナの隣には孝支くんが鞄に突っ伏して伸びている。「根性で菅原くんの勝ちだから」とスナがそっと彼の頭を撫でる。
「おいっ」
「侑は何とかするから、連れて帰っていいよ」
「お…おう、悪いな」
元々人の物に手を出すような面倒はしない男だが、あっさりと引くので訝しみながら孝支くんを抱き起こす。
「その代わり、あの寝顔消さなくていいよね」
「は!?」
「可愛いね、菅原くん」
スナのその笑顔は、侑よりも危険な香りがした。