両手で頬を挟まれ強引に振り向かされて、突然キスをかましてきた治の顔は行動に反して不機嫌で、「侑の顔、そんなに好きなん?」と訊いてくる。
「同じ顔じゃん」
「孝支くんは俺だけ見とって」
「…試合観てんのに」
「俺といる時は、俺だけ見ててくれればええやろ」
真面目な顔して、恥ずかしげもなくそんなことを言う。
そんなの無理!なんて言い返したらシュンとしてしまうのは分かっていたので、「こうしてればいいだろ?」と、治の両腕の中に背中から入り込んで「ほら、一緒に観よ?」と言ってやれば、治はしぶしぶと俺の肩に顎を預け、頬や首筋にキスを繰り返した。
何がそんなに寂しいのかな?