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    ごまみそ

    @gmmszui02

    色々あります

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    ごまみそ

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    ハーオウ。先王討伐後、盛り上がって野外で致す直前の二人です。年齢制限はありません。
    冥府の光事情を勝手に書いています。

    #ハーオウ
    her-oh!

    冥府の夜空 真っ白な玉座が赤く染まってゆく。とぷとぷと溢れる血が階段をつたい、床を這い広がって未練たらしく兄弟の元へと近づく。けれど、それが彼らに届くことはもはや無かった。
     主人を失った王の間で、息子達は生者だけに与えられた特権として、その呼吸を荒く響かせていた。
    「終わりましたね、やっと」
    「ああ」
     二人は熱く甘やかな視線を交わし、肩を組み寄り添い合う。それはまるで一つのレリーフのように美しい形をしていた。玉座を背にした彼らの一歩が、冥府の夜明けを告げていた。


     勝利を知らされた民衆は喜びに湧き、誰もが人目を忘れて涙を溢した。その光景は、先王の支配がどれだけ民の心を凍てつかせていたかを如実に表していた。
     本来であればこれからが正念場、国の立て直しと平和の維持こそが難しい局面とも言えるのだが、功労者達はそれらを承知で一夜の宴に身を任せた。

    「この辺で勘弁してくれ。明日からまた忙しいんだ」
     いつまでも杯を交わしたがる人々に囲まれ、そう素っ気なく返すデスハーだったが、その口元は緩みを隠しきれない。人混みをかき分け、皆に名残惜しそうに見送られて向かった先は、人気のない高台だった。他より周囲の水晶石が少ないせいで冥府には珍しく薄暗い。一方で、下方に見える宴はまるで地上の夜空のように眩しく見えた。デスハーは、今夜が終わってしまう前にその光景を目に収めたいと思い、この場所を訪れたのだ。
     その時、背後から草をかき分ける音を耳にしてデスハーは瞬時に剣を構える。けれどその緊張はすぐに解けた。暗闇から現れたのは、共に王を打ち倒した末弟のオウケンだった。

    「兄者、こんなところにいらしたのですね。どこかへ向かう背中をお見かけして、慌てて追いかけました」
    「お前に声もかけず悪かったな。すぐに戻るつもりでいたがーーせっかくだ。少し一緒に見ていかないか」
     兄からの誘いに、オウケンは目を細めて「喜んで」と応えた。

     二人は並んで草むらに座り込むと、地底をじっと見下ろした。燃え盛る炎の周りで、人々が飲めや歌えやと踊り狂う。久方ぶりに聞いた子供の笑い声、べろべろに酔っ払った団員達。その全てが、まるで夢のような光景だった。
     いつまでも眺めていたい。そう思っていたはずなのに、気がつくとデスハーは隣の男へ視線を滑らせていた。それは無意識下で、この光景と同じだけ、それを見る弟の横顔も大切に目に収めたいと思ったからなのだろう。しかし残念ながらそれは叶わなかった。何故なら、振り向いたその先では弟の熱っぽい瞳がデスハーを見つめていたからだ。
    「兄者……」
     オウケンの、酒気を含んでぷっくらと膨らんだ唇がデスハーの呼び名を囁く。赤く染まった頬が、長兄にだけ見せる垂れ下がった眉が、潤んだ瞳が、宴の灯りに彩られて宝石のように輝いていた。二人は惹かれ合うように唇を重ねた。

    「んっ、は……ぁ、」
    「ふ……っ、オウケン……ッ」
     確かめ合うように、二人は唇を重ねる。しかしすぐにそれでは足りなくなって、はしたなく舌を絡めた。
    「んぅ、く……っ」
     兄の分厚い舌が口腔に滑り込み、オウケンは苦しそうに息を吐く。その声を聞いてデスハーは慌てて体を離すが、弟が口元を濡らしながらも夢見心地にぼうっと微笑むのを見ると、我慢できず再びその口を塞いだ。
     デスハーは欲のままオウケンの口内を蹂躙する。口蓋を擦り、舌先を吸い咽頭をつつく。オウケンが痺れたように体を震わせて涎を溢すと、堪らずそれも啜った。宴の賑わいをよそに、二人は互いだけの世界を貪り合った。

    「ぁ、はぁ……っ、あに、じゃ……」
     オウケンがむずかる幼子のように身を捩り、兄の腕の中で酸素を求める。デスハーは気付かぬうちに己の太い腕で弟を囲い込んでいたことを知り、自身のあまりの必死さに頬を染めた。
     余裕のなさを誤魔化すように、デスハーは弟の髪や頬を撫でる。次第にオウケンの瞳に意識が戻ると、二人は探り合うように視線を絡ませた。けれど互いの吐息が熱いままだと分かり、デスハーはニヤリと悪戯に笑った。

    「なぁ、いいか」
    「ッ、こ、ここでですか……!?」
     オウケンが頬を真っ赤に染めて俯く。口を震わせながらも一度硬く目を瞑ると、オウケンは躊躇いながら兄に返事を返した。
    「私は……あなたのイエスマンになると、誓いましたから」
     その言葉に、デスハーはオウケンをぎゅうと抱きしめ草むらに転がる。弟を捕まえたまま、デスハーは仰向けになって盛大に笑った。
    「ああ、そうだったな! オウケン、オウケン……! これからもずっと、私の側にいてくれ」
     ーーもしかしたら初めてかもしれない、兄の甘えを含んだ声に、オウケンは胸がじんと熱く痺れるのを感じた。そして今度は躊躇うことなく、幸せの滲んだ声で「はい」と応えた。
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