今度は2人で ファウンデーションに入った瞬間、空気が変わった気がした。
挨拶をすれば返してくれるが目を合わしてくれない、ような。世間話をしようとすれば話そこそこで切り上げられる、ような。小さな違和感が降り積もり首を傾げた。
「ベケット。君が来るのは珍しいな」
なぁ、と呼びかけられて立ち止まる。ベケットに気が付いた住人の一人が軽く手を上げて招いた。Vaultーtecと書かれたTシャツを纏いラフな格好をしているのはサミュエル。彼は普段と少し違うファウンデーションの空気に臆することなく話しかける。ベケットは少しほっとして体を向き合わせた。
「ああ、酒の在庫が乏しくなってきたんで補充しにな。なぁ、ちょっと聞きたいんだが」
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