【弟子バロ】弟子がものすごい勢いで師匠を口説く話「ああもう、好きと言っているのが分からんかああああああ」
いきなり弟子がブチ切れた。検事執務室のガラスがびりりと震え、蝙蝠たちがどこぞに飛び立つ。
胸元のクラバットを掴まれ、至近距離から叫ばれた元死神――バロック・バンジークスは色素の薄い目をばちぱちとまたたかせた。
「驚いた。心臓が止まるかと思ったぞ。法廷中に響き渡るような声で言わなくとも………………好き? スキ……とは?」
対する弟子、亜双義一真はぐぬぬおおと髪をかき乱して派手に懊悩した。
「だから!」
青年は手直にあった紙を二つ折りにして放り投げる。
「オレは!」
サーベルが抜かれ、素早く踊る刃が空中で紙を切り裂く。
「貴君を!」
宙を漂う紙が掴まれ、胸元にびしりとつきつけられる。
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