龍姫の休日 しくったな、と珍しいミスに頭を搔く。
身寄りが無く、後ろ盾も存在しないこの身ひとつで生きていくにあたって、厄介事や面倒事に首を突っ込まないのはとても重要だ。
物心ついた時から一人で生きてきたリオセスリも、自分の手に負えないものは避け、堅実に行動して己を守ってきた。
それなのに。
「あの拳闘士はどこに行った!?」
「絶対に見つけ出せー!!」
「生きて返さんぞ……、俺たちをコケにしやがって……。」
ーーどうしてこうなったやら。
「まさか、正式な拳闘で勝っただけでここまで恨まれるとはな……。」
物陰に潜み、隙をついて駆け出すことの繰り返し。
どうやら今夜の相手はかなりタチの悪い存在だったらしい。
お互い同意の上で行われた試合で、どちらが勝とうが文句なしという決まりがある筈なのにも関わらずこの有様。
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