ッ……ァ
一瞬で息が詰まり、硬い革靴の先が鳩尾に入ったのを感じる。冷たいフローリングに額を押し当て、必死に酸素を取り込もうと口を開くが、喉が閉まって上手く息が吸えない。
ぇんなさ゛…!
聞こえないな。もう一回。
絞り出した声はあえなく散った。
息を整える間もなく、その足が再び後ろに振り上げられる。蹴られる…!そう思った時には反射的に体を丸めて再び同じ言葉を叫んでいた。
ッごぇんなさ!!
振り子のように近づいた爪先が、衝撃を感じる前に止まった。
…?
下から見上げた顔は影で真っ黒に塗りつぶされていて、なんの感情も読み取れない。
ともあれ蹴られなかった。
顔に少しの安堵を浮かべたミスタが、体の硬直を解いた瞬間に、目の前にあった足が垂直に持ち上がり、一気にミスタの肩を直撃した。
ー!たいたいたい!
革靴の踵が食い込み、床と足に挟まれた肩がミシミシと悲鳴を上げた。そのまま左右に足を捻られ、重みも痛みもどんどん増していく。
どけろって!どけて!
足をバタつかせながら、反対の手で振り下ろされた足を押し除けようともがく。