触れた指先(それはあなた) ギノの身体はどこもかしこも美しい。頭のてっぺんからつま先まで、どこまでも美しい。それは誰もが知るところだろうが、それに触れられるのは俺だけだということは、この強い独占欲を満足させた。彼のうなじ、唇、人が望むところ全てに俺は触れることが出来る。ギノは俺の欲望を満たしてくれる。決して拒否なんてしない。俺はそれに満足していて、そしてこれからもそうであってくれと願っている。
「狡噛、その……」
コーヒーを片手にサーバー近くでのんびりしていると、ギノが言いづらそうに俺に切り出した。一体何なんだろう。俺は何かしでかしたか? そんなことを思いながら自分の手を見ると、彼の髪をくすぐっていることに気づく。もしかしてこれだろうか? いつもの癖でやってしまったが、さすがに職場ではまずかっただろうか。
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