冬の過ごし方のすすめ 季節は夏を過ぎ、秋も中ごろとなり涼しさから寒さへと変わり始めたころ。
「ただいま~」
「おかえり、らっちー!今日から一緒にお風呂に入ろ!」
「は……?」
仕事を終えて帰ったラテさんを迎えたのは、同居人であるかめ殿からの唐突な提案だった。
「それで?なんであんなおかしな話になるわけ?」
夕飯におでん(提供:水面(すいめん)さん宅)をつつきながら、話の続きを促すラテさん。
「いやさ、また電気代値上がりするかもってニュースあったじゃん?」
「うん。あったね?」
「で、冷房代で結構な出費になったじゃん?」
「……うん。そう、だね」
なんとなく予想がついてしまい、眉間にしわが寄らないように指で軽くもんでしまうのは仕方ないのかもしれない。
「で、夏に冷房代節約のために一緒に寝たんだから、暖房代節約でお風呂も一緒にすませばいいじゃないってひらめいたんだよ!」
「……ちょっと違わない?それ」
暖房代節約。はまだ理解できたが、そこからお風呂を一緒にするということにつながらずに思わず聞き返してしまう。
「だって、帰る時間二人ともばらばらだし、別々に入ったらお風呂冷めちゃうじゃん」
追い炊きで燃料代を消費するのはもったいない。とかめ殿は主張。
「いや、追い炊きしないで済む時間で別々に入ればいいじゃん」
「そうじゃなくて~!」
このままでは埒が明かないと、とにかく利点をプッシュするかめ殿。
「一緒に入ったらしっぽとか洗う時間も短縮できるよ?」
「ん~」
「ドライヤーだって俺が手伝ったら乾かす時間半分くらいになるよ?」
「むむ……」
意外と真面目な利点を挙げてきたので悩むラテさん。もちろん、下心はしっかりと隠しているかめ殿。
「ね?だからとりあえずお試しで入ってみよ?」
「……仕方ないなぁ。お試しで今日だけ。だよ?」
「よっしゃ!」
――――――ところ変わってお隣さん【水面(すいめん)さん宅】
「お隣さん、今日もすごいっピねぇ……」
「あんたねぇ」
絶対本人には言うんじゃないわよ?と夫にくぎを刺すことを忘れない妻。
「でもこれ、たぶんお風呂場ですよねぇ……。これはさすがに教えてあげないとかわいそうじゃないですか?」
「……」
夫の言葉にも一理あると思ってしまう。だが……。
「絶対にあんたは言うんじゃないわよ?」
夫が話したら間違いなくラテさんが恥ずかしさに耐えきれなくなってしまうだろうと、自分から話すことにする妻であった。
後日、水面(すいめん)夫人よりこの事実を聞いたラテさんは……
「おかえり、めっくす君。今日は一緒に寝よっか?」
「えぇ~!らっちーからのお誘い」
寝室にて
「いたたたたた!ギブらっちーギブ!」
「なに言ってるの?めっくす君。夜はまだまだこれからだよ?」
某格闘ゲームに出てきてもおかしくないほどに見事な寝技(物理)を発動させることになりましたとさ。
めでたしめでたし?