週刊少年跳躍する長男「最近さぁ、右見ても左見ても和柄が流行ってるっぽくてさぁ」
だから、起因の奴一緒に見ようぜ。と言われたのが先週。週半ばだけど祝日で休みなのが今日。昼間からダラダラと過ごすのにはうってつけの日。ソファに二人並んで座わる。
「で、結局何見るんだよ」
「鬼滅の刃」
「ああ…」
ここ最近よく耳にするタイトルだった。子供がハマっている、と休憩中の部下が話しているのを聞いたほどに。
「最近マジで市松模様とか麻の葉模様とか目にするし、話に出るしさぁ、デザイナーの端くれとしてはまあ、抑えておきたいんだよね」
「前にもなんかそういったのなかったか?」
「あったかも」
配信サイトで該当のアニメを検索しているのを、横で眺める。デザインに直接関わらなくても、世間の流行は抑えて損はないらしい。俺にはよく分からない世界だった。
「お、あった。立志編だって」
「いくつかあるってことか?」
「見てけば分かると思うし、再生するよ」
そのアニメは、雪降る山の中を、血まみれの少女をおぶって歩く少年の独白から始まった。
「一話のタイトルが残酷だったから、覚悟はしてたけど、家族皆殺しから始まるとは思わないじゃん…」
「……そうだな」
「絶望を視聴すると胃にクる…」
「あったけぇ茶いれてくる…」
「頼むワ…」
長男属性二人、感情移入しすぎて二話目に進めなかった。これまだあと二十五話あるの…?イッキ見キツくない?と三ツ谷がボソボソ言っているのが聞こえる。たとえこれがハートフルでも二十話イッキ見は普通に無理だろ…
ケトルに水を入れてスイッチを押す。その間にデカめのマグカップ2つに粉末タイプの緑茶を入れる。
鑑賞会はまだ始まったばかりだった。