【伏棘】1122実家でもある電気屋の入る商店街では、近くにできた大型ショッピングモールの年末商戦と重ならないよう、今年は1か月早い11月初めからセールと毎年恒例の福引大会を開始した。参加賞(いわゆるハズレ)だけでも高級ティッシュボックス5箱セットがもらえ、普通の商店街にしてはかなり豪華な景品が当たるので、この福引目当てにセール期間を待ってたくさん買い物をする客も多い。
そして大学1年生で彼女ナシ、時間をまあまあ持て余している俺は、今年も時給1,000円で福引交換所のバイトに狩りだされたのである。客から券を受け取り、抽選器を回数分まわしてもらい、色を確認して景品を渡す。賞によっては名前と住所を書いてもらうこともあるが、いたって単純な仕事。そして、それに加えて平日の夕方。人もまばらでかなりヒマを持て余していた俺は、電気屋から交換所が見えないのをいいことに、パイプ椅子に深く腰掛け、携帯で読み途中の漫画をスクロールしていた。
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