【伏棘】顔を仰向ける。
すると咥内に含んだ白い液体が、どろり、と舌の上をゆっくりと伝った。途端に全身の神経が粟立ち、ゾクリと肩が震える。
だめ。
耐えろ。
「無理に飲まないでください」と忠告した恋人の言葉が頭をよぎるが、後悔はない。逆の立場だったら、恵だって飲んでると思うから。
自分の身体なのにコントロールが利かない。
刺激に正直な身体は、喉を通る液体に過敏に反応する。そして神経の昂りが一点に集中し、今日何度目かわからない感覚に身震いすると――
「――――っッッ!」
「…………無理しないでくださいって言ったじゃないですか」
声にならない声を発して頭を抱える俺に、恵の心配そうな声が沁みる。いや、呆れたようにも聞こえるのは幻聴か。
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