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    逸の絵と文字おきば

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    マキャ小説のバトル部分のみ

    #マクキャリ@逸

    アガベの本懐(前) ふたりが選んだのは、街の外れにある廃ビルの一階だった。商業施設かオフィスビルとして使われていたのだろう、エントランスホールは四階までの吹き抜けという開放的な作りになっている。しかし、ところどころに使い捨てられた家具や小さな瓦礫が埃を被って散乱しており、長らく誰も寄り付いていないことが伺えた。
    「ここが良さそうだ。…少し埃っぽいが」
    「も、問題ない」
     キャリバーの返事を聞きながら、マックスはエントランスホールの中央を通り過ぎ、彼と十分な距離を取る。そしてキャリバーに向き直ったあと、ジャキ、と音を立てて自らの武器――ドラゴントゥーススパイクを出してみせた。多肉植物の形に似た、マックスの巨躯に勝るとも劣らないサイズのそれは、一瞬にして彼の右腕に装備された。
    「ここで私と戦え、キャリバー。お互い全力とはいかないかもしれないが、可能な限り力を奮ってみせよう。」
    「…し、しかし、いいのか。」
     ためらいがちな言葉が、キャリバーの口をついて出る。だが、不意に自分の中でじわりと増幅した熱を感じて、キャリバーはその躊躇が自らの本音ではないことに気づいた。自分の中に「マックスと戦ってみたい」という願望がこれまで無かったかといえば、嘘になるのだ。
    「構わない。こうしないと、お前の欲望は満たされないはずだ。」
     言いながら、マックスは武器が装着された右腕を後方に構え、上半身を落として臨戦態勢に入る。そこでキャリバーもすぐさま腰元の刀を一本抜いた。中途半端な遠慮は、もう自分たちの間に要らないと認めたからだ。キャリバーの体内で渦巻いている熱は、今まさにマックスを捉えようとしていた。
     風はない。埃が混じったぬるい空気だけが、ふたりの頬を撫でる。

     先に地面を蹴ったのはマックスだった。
     右手の武器を振りかざし、キャリバーが立っている場所を拳で突く。どう、と音がして開戦の狼煙であるかのように砂埃が勢いよく舞い上がり、マックスの拳そのものより何倍も大きな穴が地面に開いた。
     だが、そこにあるはずだったキャリバーの姿はもう無かった。すぐさまマックスの攻撃を避けて、空中へと飛んでいたのだ。とはいえマックスもそこは予測どおりといったところで、間髪入れず顔を上げ、上空にあるキャリバーの姿を捉えていた。はじめの打撃についても、こうしたキャリバーの出方を伺うため敢えて引き受けたに過ぎない。
     キャリバーは宙を舞いながら、二本目の刀の柄を親指で弾いて、抜いた。そのまま、素早くマックス目掛けて矢のように投げつける。空中で閃いたキャリバーの刀は的確に目標を捉えていたが、マックスは右手の武器を凪ぎ払うように振り回して防御した。
     しかし彼が視界をキャリバーへ戻すと、ふたたびその姿は消えていた。
     今度は刀の投擲を済ませたあと、キャリバーはそのまま身体を回転させながらマックスの右隣へ飛び込んでいたため、彼の視界からは外れたのだ。マックスの武器は大きさとパワーがある分、視界が遮られやすい。
     新世紀中学生で誰が一番強いかと彼らに問えば、マックスが挙がる。しかし素早さだけを取れば他の3人が上だ。キャリバーはその利点を活かし、マックスを翻弄するつもりでいる。

    「…右か………!!」

     気配で感知したマックスが、今度はキャリバー自身に向けて大きく武器を振るった。キャリバーはそれを跳躍で回避すると、マックスが持つ武器の先端を利用して踏み込み、その顔面目掛けて左脚で蹴りを食らわせる。蹴撃は見事に側頭部へ命中し、マックスが付けている鋼鉄のマスクから、ぐっ、と呻き声が漏れた。
     相手が怯んだ隙を利用して、キャリバーは後方へ飛びすさり、追撃を食らわせるために壁面へ着地した。
     一瞬で、次は三本目を抜く。さらに、既に持っていた一本目の刀と、新たに抜いた刀とを合わせる。ガシャン、という音とともに、ふたつの刀は一本の大剣へと姿を変えた。

    「はあっ!!」

     壁を踏み台にしてマックスのほうへ飛び込み、その懐めがけて刀を繰り出す。目まぐるしい速度で迫りくるその剣撃と、マックスの武器がぶつかり合い、ひときわ大きい金属音が薄闇の中を貫いた。
    「ぐ………!!」
     キャリバーの攻撃は、スピードも乗ってかなりの重さになっていた。マックスはその重圧にしばらく堪え続け、苦しみながらもどうにかそれを弾くことに成功する。
    「くそ!」
     マックスに防御された衝撃で少し後ろへのめりながら、仕留められなかったとばかりにキャリバーは悪態をついた。しかし、剣撃を防いだあとのマックスも構えが崩れて、頭部ががら空きになっている。そこでキャリバーはこの上ない好機とばかりに、先んじて体勢を立て直し、左手でジャケットの襟へ掴みかかると、今度は頭突きを食らわせた。鈍い音とともに、男たちの頭部が衝突する。
     キャリバーはかなりの石頭だ。マックスもこれにはぐらついてしまい、前かがみに体勢を崩した。キャリバーはそこへ大きな勝機が出来たとばかりに半笑いし、全身を使って大剣を振りかぶる。
     しかしマックスは、ぐらついた時の体勢を利用して上半身を更にかがめ、強く踏み込んで、武器を付けていない左手を使って、キャリバーへ重たいボディブローを一発食らわせた。

    「ご、あ………」

     キャリバーの眼が、大きく見開かれた。
     口から涎が飛び散る。
     そのまま彼の身体は吹き飛ばされ、ちょうど先程踏み台にしていたあたりの壁面に打ち付けられて、床へ落ちた。

     
    「つ、強いな、マックスは。」
     壁を背にしたまま、口元にはにやにやと不気味な笑いを浮かべながら、キャリバーが言う。
    「す、素手で、決められて、しまった。」
    「お前がちょうど、刀を大剣に切り替えていたからな。左腕のほうがスピードで勝ると判断したまでだ。」
    「つ、次は負けない。」
    「…私も、お前の蹴りと頭突きは効いた。次勝てるかどうかは分からないだろうから、こちらも腕を磨いておくとしよう。」
     マックスはキャリバーへそう告げると、武器を仕舞い、スーツの埃をぱたぱたと払ってから襟元を整えた。すぐに再戦とばかり意気込んでいたキャリバーは、立ち上がる機会を失ったまま、マックスが身形を整える仕草をただ見ることしかできずにいた。
    「…コーヒーでも、買ってくるか。」
     キャリバーは「た、頼む。」と小さな声で言い、そのまま飲み物を買いに行こうとするマックスを視線だけで見送ることにする。しかし、胸にしまった高揚は未だ彼の中で消え去ることはなかった。


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