オシリスの墓標「デートしようぜ」
Vからそう提案されたとき、リバーは思わず耳を疑った。時折ふらりとやってきては一夜をともにしたり、ホロコールやメッセージでのやり取りはあったが、わざわざ時間を取って“デート”と呼べるようなものに費やすなんて。それに〈神輿〉の一件からのちは特に忙しいようで、ろくに顔を合わせていない。だからその誘いを嬉しく思わない理由はなかった。ただし、不安や疑問が無いわけではない。いずれにせよ、リバーの答えは決まっていた。
「もちろんだ」
何より彼が自分と過ごす時間を選んだという、そのことが重要だった。
それで「いつ?」とたずねると、「今から!」だと言う。幸いにして特に予定はない。囃し立てる妹と甥っ子たちをいなしつつ染みのない服を探し――こういうときに限って見つからないのだ――あたふたと身支度を整え、リバーは車に飛び乗った。
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