七九巻き戻し血濡れたどす黒い石畳の床に、金属の破片が鈍く震える。
蒼穹山派の最高峰たる玄粛剣が
洛氷河に拮抗しうる唯一の剣が
無惨に折れ落ちている様を
沈九は随分と永い間、ひとつ残された眼で、ジッと見詰めていた気がする。
………………
………
…
不思議なことに、あれほど心身を苛んだ拷問の跡が、今は他人事のようだった。
もはや視界は殆ど見えないが、頭はいつになく冴え渡っている。
満身創痍の身体が脈打つ度に、繰り返し繰り返し心臓を締め付けるのは、ただただ砕けた剣と師兄のことばかりだ。
これは何だ
苦しい
苦しい
身体中の痛みはむしろこの苦しさを和らげる
ねじ切られた四肢が、潰された目が、引き抜かれた舌が、喉の痛みが
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