16歳の茨が6歳のジュンを拾う話.大雨の中、たまたま立ち寄った公園のベンチに寝転がる小さな子どもを見つけた。顔を真っ赤にして苦しそうに呼吸をしている。よく見ると、身体には多数痣の跡がある。暴力を振るう親から逃げてきて疲れ果ててここにいるのだろう。その姿に思わず昔の自分を重ねてしまう。
「はは...まるで自分と同じですね」
この大雨なのだからこのまま放っておけば低体温症や高高熱で命を落としてしまう可能性もある。だが、自分には関係ない。俺が知らないこいつを助ける仮もないしメリットもないのだから。なんとなく子どもに手を伸ばして頬を撫でた。
「...辛かったな...もう楽になれますよ」
何を言っているのだろう。頬を撫でるのをやめて背を向けると、急に服の袖を掴まれた。振り返って子どもを見てみると、うっすらと目を開けている。
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