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    yuewokun

    @yuewokun

    ひろみちゅ~

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    yuewokun

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    ひろみつ生存幼児化ifの書きかけ
    続き書けそうになくて困ってるからあげちゃう

    ひーくんはここで生きています!秀景風味やっぱよ、ひろみちゅ生存ifみんなすきじゃんおれもすき
    生存if且つあぽときしっちゃうのすきだろ、おれもすき
    そういうことだ

    日色ひかる
    帝丹小学校1年生になるぞ♡
    ついでにやっぱ正体を隠すなら見た目、年齢、性別まで偽った方がいいよな!女装しろ
    保護してくれた赤井さんの監視?監督?がはいるので昴さんと一緒に住むぞ♡♡

    秀景風味かもしれない



     おしりがツンと持ち上がった灰青の大きな目がパチリと瞬く。それは右から左へと視線を滑らせる、並んだ小さな顔を一通り見遣って静かに瞼の裏へと隠れていった。
     静かに微笑んで彼女がお辞儀をすると、肩にかかった絹のような黒髪がサラリとこぼれる。それから頭を上げて、小さな口を開いた。が、そこから音が出ることはなく、本人もあっとなにかに気づいた顔でそのまま静かに口を閉ざしてくるりと踵を返す。先程サラリと流れた髪の先は細い腰のあたりで揺れていた。
     白いチョークを手に取ると、背後にあった黒板にカツカツと言葉を刻む。

     ひいろひかる。
     担任の教師が書いたその文字の隣に角張った文字で綴られた文字を見て、その教室はざわりと揺れた。
     その様子に困ったように笑うと、ひいろひかると名乗ったそのこどもはまたひとつお辞儀をした。

    「ひかるちゃん、一緒に帰ろ!」
     背後からかかった可愛らしい声に、ひかるは首を傾げながら振り返った。ランドセルを背負った少女が大きな目をキラキラとさせて返事を待っている。ひかるが転入してきたクラスの子どもだった。期待のこもった眼差しにひかるは思わず笑ってしまったが、誤魔化すように口元を手で隠しながら頷いてその少女のもとへ駆け寄った。その隣にはもうひとり少女が立っていたが、彼女は微笑ましそうに目を細めて二人のやり取りをただ眺めているだけだった。

     二人と並んで教室を出れば、扉のすぐ前に少年が三人立っていた。ひかるを伴った二人を見ると次々と声をかけてくる。
     元太、光彦、コナンと名乗った彼らは、放課後はもっぱら彼女らと遊ぶ仲らしい。登下校も一緒で、今日はそこにヒカルがおじゃまする形になった。

    「ひかるちゃんはどのあたりに住んでるの?」
     昇降口の下駄箱に上履きを仕舞う手が止まる。
     その質問にひかるはどうしたものかと眉を下げた。答えたくとも、彼女はすぐに答えられない理由があった。
    「吉田さん。日色さんはいま声が出ないから、はいかいいえのクローズドクエスチョンの方がいいんじゃないかしら」
    「あ、そっか! 哀ちゃんの言う通りだね。ごめんね歩美、気が付かなくって……」
     先に靴を履き替えた哀の言葉に歩美は目をまあるくしてから頭を下げた。しょんもりと眉を下げる様子に、素直な子だと、ひかるはまたも笑みを滲ませた。

     声が出せない。
     ひかるが転校最初の挨拶で、名前の横に書いてクラスの人間に伝えたのはそのことだった。ただ、生まれつき声が出せないわけでも、これから永劫声が出せない訳でもない。一時的に体調の問題で声が出せなくなっているだけだ。だからひかる自身も普通に話そうとしてしまうし、それに釣られてクラスの子ども達も普通に会話をしようとしてしまう。
     とはいえ声は出ないが、音の無い口の動きと少しの身振りである程度の意思疎通は可能であるし、いまのところひかるはおおきな不便さを感じていなかった。そもそもひかるにとって声が出せない状況ははじめてなわけでもない。意思の疎通の方法はいくらでも知っている。

     だから、質問に答えられなかったのはそれが本当の理由ではない。単純に言えないのだ。ひかるにとっていまの住まいの場所はやたらめったと誰彼構わず公言していいことではない。

     歩美の質問には、声が出ないことを言い訳にして明言を避け、スカートから伸びる細い足をスニーカーに滑り込ませる。顔を上げるとその場で待っていた五人とともに校舎から出て、校門をくぐった。
    「私たちは帰り道がこっちなんだけど……ひかるちゃんも同じ?」
     指で示された方を見てひかるが頷くと、パッと歩美の顔が明るくきらめいた。ひかるの手をとって意気揚々と歩き出す。
    「よかった! 私たちみんなこっちの方なの。交差点の辺りでわかれるんだけどね」
     嬉しそうに話す歩美の話を聞いてひかるが振り返ると、すぐ後ろを歩いていた哀が目を細めて頷いた。同い年の友人と言うよりも、妹を見守る姉のような表情だ。ひかるは目を瞬かせた。

    「ひかるちゃんは、一人っ子?」
     手を繋いだままの歩美が大きな丸い目を楽しそうにパチリパチリと動かして問う。ゆっくりと歩く帰路で、簡単な質問がいくつも続いていた。
     ひかるは微笑みながら首の振りや身振り手振りで質問に答えていく。
    「うんー?」
    「妹とか弟ですか?」
     ひかるが首を横に振って、人差し指で天をつつくような仕草をすると一応意図は伝わったらしい。歩美や光彦が首を傾げながら質問を詰めていく。
    「あ、上にいるんだ」
     今度は歩美の言葉に頷くと、「お兄さん?」とひとつまた絞ってくる。哀からのアドバイスをしっかりと守り、すべてはいいいえの二択で答えられるような質問ではあるが、まずは間口の広い質問から少しづつせばめていくように続いていく。答えにたどり着くまでが少々のまわり道にはなるが、おしゃべり好きの小学生にはちょうどよかったのかもしれない。
     少しずつ進んでいく質問が楽しいのか、歩美は終始笑顔だった。

     交差点にさしかかると歩美が質問を止めてあっちこっちと指をさして道の説明をはじめる。校門前での話の通りここでみんなバラバラに道が別れるらしい。
     ひかるは道をキョロキョロと見渡したあと、着ていたカーディガンのポケットから紙を一枚取り出した。綺麗に4つ折りにされたそれは広げてみても小さく、ただのメモ紙のようだった。
     その紙をぺらりと歩美に渡すと、ひかるは首を傾げた。
    「えっと、ポアロ……? ポアロって喫茶店の? そこに行きたいの?」
    「それならコナンくんと同じですね」
     名前の挙がった本人は両手をポケットに突っ込んだまま「えっ」と声をあげた。
    「ひかるちゃん、家に帰るんじゃなくてポアロに行くの?」
     その言葉に歩美がメモ紙をコナンへ手渡す。きょろりとメガネ越しの大きな目がそれを見て数回瞬いた。
    「これ、誰と待ち合わせ?」
    「、」
     ひかるがツンツンと上をつつくような仕草をする。今日既に一度見たジェスチャーだ。コナンもすぐに気付いたらしく合点のいった顔で頷いた。
    「お兄さん? そっか、じゃあ連れて行ってあげるよ。俺そこの二階にいま住んでるんだ」
     コナンのその言葉ににっこりと笑うと、ひかるはそのすぐ横に立った。
    「今日は歩美たちちょっと用事があって遊べないんだけど、明日は絶対一緒に遊ぼうね!」
     じゃあねー、と手を振って各々帰路に着く。ひかるも顔の横で小さく手を振ってそれに応えた。

    「ひかるちゃん、たまたま今日一緒に帰れたけど歩美ちゃんが声掛けてなかったらポアロまでどうやって行くつもりだったんだ」
     ポアロまでの道のりのなか、コナンがふと気が付いたようにひかるを見た。
     たまたま歩美が声をかけて、たまたま一緒に帰った中にポアロの二階に住んでいるコナンがいたからこうしてスムーズにその道を進めている。偶然で成り立っている状況にちがいない。もし歩美が声をかけなければ、彼女はポアロにたどりつけなかった可能性があるのではないか。
     彼女は今日が転校初日で知り合いもおらず、そしてなによりいま声が出ないというハンデがある。

     しかし、コナンの心配とは裏腹にひかるはきょとんと不思議そうな顔で彼を見つめ返した。
     それからカーディガンではなくスカートのポケットに手を入れると、取りだしたものをコナンに見せた。小学生の彼女の手には少し大きい角張ったそれは、紛うことなき携帯端末だった。
    「えっスマホ持ってきてたの」
     コナンの声にイタズラっ子のように笑うと、ひかるはシィッと口元に人差し指を当てた。
     校則で端末の持ち込みが禁止されていることは知っているらしい。
    「学校では先生に見つからないようにね」
     頷いてそれに返事をすると、彼女は歩きながらスマホで何かを操作する。指の動きから何かを入力していることはコナンからもわかったが、画面には横見防止のシートがかかっているのか上手く見えない。
     画面を撫でるように動いていた指が止まり、ひかるはそれをコナンにみせた。
    「ん? ああ、そっかそうだね、それなら会話ができるな」
     納得したようにうなずくコナンに笑みを返してまた指を滑らせる。
    『学校じゃムリだけどね』
    「学校ならノートに書いて筆談でいいんじゃない?」
    『そうだった!』
     会話に多少の時差はあれど、はいいいえの質問よりはるかに会話が進みやすい。歩きながら入力をするのはいただけないが。

    『ポアロの店員さんにすごいひとがいるってきいた』
    「すごいひと? ああ、安室さんかな」
    『どんなひと?』
    「どんなって……まあ、いろいろすごいひとだよ。会えればわかると思う」
     ふぅん、と音になりきらない返事をしてひかるは思案顔で口許に手を当てて黙り込んだ。
    「ひかるちゃんは安室さんに会いたいの?」
    『会いたい』
    「どうして?」
     ぴたりとスマホを操作する手が止まる。一瞬彼女の周りのすべての音が消えたような空気があった。シンっと静かな、深い夜の気配のようなそれはしかしすぐに霧散してしまった。ケロッと表情を変えてすぐさまひかるの指が滑る。
    『すごいひとってきいたら気になるでしょ』
    「……まあ、それもそうか」
     妙な違和感に首を傾げながらもコナンはそれ以上深追いはしなかった。

    「ほら、ここがポアロだよ」
     路肩に出た小さな看板を指さしてコナンが声をかけた。たしかに店名が書かれている。そのすぐ横にあるガラス張りの大きな窓からは中の様子が良く見えた。
     平日の午後とはいえ、それなりに客は入っているらしい。ひかるが少し首を伸ばして中の様子を伺っただけでも空席がまばらな様子がみてとれた。

    「俺も今日ここで時間潰すし、一緒に入ろう。安室さんいるといいね」
    「やあコナンくん、いらっしゃい」
    「うわ! 噂をすればってやつかよ」
    「え?」
     コナンがポアロの扉に手をかけたと同時に扉が開いて、中から男が一人顔を出した。きらりと光る金髪と褐色の肌のコントラストが強いその男こそ、先ほど話題に出ていたすごいひと、安室透である。
     コナンの言葉に不思議そうに首を傾げた彼は、すぐ横にもう一人いることに気がついた。
    「おや、今日はお友達も一緒かい」
    「今日転校してきたひかるちゃん。ポアロでお兄さんと待ち合わせしてるんだってさ」
    「へえ、そうなんだ。ひかるちゃんいらっしゃ、い……」
     にっこりと笑って挨拶をしようとした安室はひかるの顔をみてぴたりと動きをとめた。少し悩んだあと、コナンを見て、それからまたひかるを見る。
    「安室さん?」
    「……いや、ひかるちゃんどこかであったことあるかい」
     ぶっと吹き出した。コナンが。
     思わずだ。本当に思わず出てしまって慌てて口を手で覆いながら、震える声でコナンが言う。
    「しょ、小学一年生相手に口説くのはどうかと思うよ」
    「なんでそうなるんだ」
    「いやだって……ほらひかるちゃんも困って…………ひかるちゃん?」
     コナンの視線の先には、水の膜を張らせた大きな猫目を見開くひかるがいた。わなわなと口元は震えている。小さな手は、きつく握りこまれていた。
     その視線の先は安室透しかいない。
     噂の人物に会えたことに感激している、というには無理がある。感激というよりもこれは、恐れか、安堵か、嘆きか、歓びか。あらゆる感情がないまぜになった、煮込みすぎた鍋のような、ぐちゃぐちゃな顔だった。
    「ひかるちゃ」
    「あれ、もう来てたんですねひかる」
     コナンの声をさえぎって現れた第三者の声に安室もコナンも、ひかるも顔を上げた。ひかるたちがやってきた道とは反対からやってきたその人は、ひかるの横に立つとぺこりと頭を下げた。
    「ああ、どうもこんにちは」
    「昴さん」
     柔和な顔の彼は、驚きの声をあげたコナンへと向き直る。眼鏡の向こうの目は細く閉じられていて、どんな感情がのっているかすら分かりづらい。言葉遣いも表情も柔らかいようで、それでいて全く温度の感じない男だった。
    「もしかしてコナンくんがひかるをここまで案内してくれたのかな、ありがとう」
    「え、え、もしかして、お兄さんて昴さんのこと……?」
     最後の困惑の声には何も答えず、昴は長身を屈めてひかるの顔をのぞき込む。ひとつ呼びかけるとハッとしてひかるは昴の腰に縋りついて顔を隠してしまった。昴が上から肩を叩いても、もぞもぞと首を横に振って身動ぎをするだけで顔を上げることも振り返ることも腕をはなすことも無い。
    「おや、困りましたね」
     全く困ってなさそうな、いつも通りの平坦な声で昴が言った。
     奇妙な違和感に、コナンが眉を寄せる。
    「その、昴さんとひかるちゃんはきょ、兄妹なの……?」
    「いいえ。親戚の子ですよ。この子の両親に少し不幸がありましてね、しばらく預かることになったんです。あ、もちろんいま家をお借りしている工藤ご夫婦にも事情はお話していますよ」
     そういうと、彼は顔を隠したままの小さな子供をひょいと抱き上げた。広い肩口に、彼女の頭をのせるとぽんぽんとそれを撫でながら眉を下げた。
    「ひかるとお茶をしてから帰ろうかと思っていたのですが、この様子だとお暇した方がよさそうですね」

     





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