原稿案1(ででうさ森時代)弟子が死んだ。
無慈悲にも獣に喰われてしまった。
いや、正確にその生を終わらせたのは彼の師であるガドだ。
まだ男だとわかったばかりの、森の若木の様に細くしなやかで、折れそうなほど成育しきっていない身体。
あちこちを食い散らかされてもなお辛うじて生きていた。か細い息を喉から鳴らしながら苦痛に耐える顔が今も忘れられなかった。その苦しみを少しでも早く終わらせてやりたくて、師であるガドの手で、その小さな胸に刃を突き立てた。
そして、弟子のミダ・ディト=ジルダは終わりを迎えた。
一族が護る森の奥の奥、その地にある古い儀礼用の神殿にミダの遺体は運び出された。
壁に蔦の這う古い石造りの広間を、蝋燭の光と天井に開けられた穴から差し込む光が照らし出す。
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