やがて開くヤヌアリウス 生きるために何人の人間も殺した。どれだけ蔑まれようと罵られようとも、すべては生きるためだった。罪悪感という優しい感情を抱いたのは子どもの頃の初めての殺人の時だけで、罪も無い通りすがりの若い女を撃ち殺してからは何も感じなくなった。生きるために殺して何が悪い。この星の人間たちはそうやって他人を搾取して生きているのだから、何も問題は無いはずだ。
そう。生きるためには金がいる。金を手に入れるには仕事がいる。仕事をするには力がいる。そのために、フュスが第二世代強化人間手術を受けたのは必然だった。
発展途上の僻地の星に生まれたのがフュス不運の始まりで、口減らしに母親に捨てられてからはスラムの路地裏でゴミを漁り、物乞いをし、盗みや殺人もした。飢えでどうしようも無い時は、汚い男たちにパン一個分にしかならない端金で身体も売ったりもした。
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