何をどうしたら早坂絋平をえっちな気分にさせられるか真剣に考えてみた話導入
モブAは考えた。
「セッしないと出られない部屋に閉じ込めれば良いのではないか」
閉じ込められるも、確認のためガチャガチャしてたらドアノブを壊した早坂絋平
「閉じ込められた?開いたぞ?」
モブB
「壁に拘束………あっ、バキッていった……」
モブC
「触手とか放ったけど倒されちゃった………」
モブD
「媚薬飲ませますね!」
早坂
「なんか暑いな……風邪か!?メンバーに移したら大変だ!薬のんで寝るぞ」
モブ
「そんなとこでバカ発揮しないで!!!!」
から始まる(?????)こうみさです。
こんな状態でも始まるこうみさがあるんですか?あるんです。(あってくれ)
風太の長崎弁は雰囲気ニュアンスです。
「お疲れ様でーす」
小さなライブハウス。
対バンがいくつも組まれているようなライブに、風神RIZINGは参加していた。
入れ替わり立ち替わりバンドマンたちがステージに上がり、様々な感情を抱いて楽屋に戻っていく。その際、すれ違う面々は軽く声をかけあい、互いの健闘を称えあっていた。
そんな中、早坂絋平は演奏順が後半ということもあり、舞台袖からバンドの演奏を、腕を組んで見学していた。
(あのバンドはギターが走りすぎだな……さっきのバンドは単純にボーカルが音痴だった………)
人のコトは言えないが、と思いつつ、じっとステージを見る。
(何か学べるものがあるかと思ったが、どこも似たり寄ったりか………)
ふう、とため息を吐き、絋平は踵を返すとその場を離れた。
「お疲れ様でーす」
「お疲れ様でーす」
歩く廊下でスタッフや対バンのバンドマンと軽く挨拶を交わしていく。
「あっ、楽屋前の廊下にいろんな飲み物置いといたんでよかったらどーぞ」
ライブハウスのスタッフとすれ違うと、振り向き様にスタッフが告げた。
「ありがとうございます」
絋平はスタッフに軽く礼を告げると、そのまま楽屋へ戻って行った。
「どこもイマイチだったなー……」
楽屋前に置かれた長机の上の、様々なドリンクのうち、小さな缶ジュースを一つ取り、楽屋に戻った絋平は、立ったままリングプルを開けてジュースを少し飲むと、ぼんやりと呟いた。
「そうなん?まあ、楽しみかたは人それぞればい!楽しかったらよか!」
絋平のぼやきに反応したのはパイプ椅子に座って暇をもて余している風太だった。
「まあそうなんだがなー……」
風神RIZINGのモットーは「みんな楽しく」なので風太の言うことはわかる。
しかし、絋平の言いたいことは技術面である事はなかなか伝わらないようだった。
「まぁ……人真似するのもほどほどにって事なのかもな」
小さな缶ジュースの容量は微々たるもので、あっという間に飲み終わった絋平は、空き缶を近くの缶ゴミ専用のゴミ箱に捨てた。
「こう兄ちゃんなに飲んどっと?」
「ん?楽屋前にスタッフさんがジュース用意してくれてたからそれをな」
「えっ、なんだそれ知らねぇ」
絋平が手にしていた缶ジュースの存在に気づいた風太が問い、答えた絋平に反応したのは風太と同じようにパイプ椅子に座っていた岬だった。
「今さっき用意したのかな?種類あったから見てくるといいぞ」
再度絋平が告げると、風太や岬だけでなく楽屋にいたあおいや大和もこぞって楽屋の入り口付近を見に行った。
「ゲンキンなやつら」
素直な反応の仲間たちを見ながら絋平は、端から見ればフウライの、懐事情を疑われそうな仲間たちの行動に、少し困ったように笑った。
(にしても少し暑いな………)
一人、楽屋に残された絋平は服の襟を掴んで中に空気を入れるような動きをすると同時に、ため息を吐き出した。
汗がにじむほどではないが、急に体がポカポカしてきたのだ。
(飲んだのはエナジードリンク系の炭酸飲料だったはずだが………血流でも良くなったか………?)
ライブハウス側が用意した飲み物は、名前も知らないようなメーカーの面白ドリンクが大半だった。絋平はその中から、おそらくエナジードリンクとは名ばかりであろう炭酸飲料を手に取り飲んだ。
(安物も侮れないな……)
絋平は再度息を吐くと、あらかじめ用意しておいた水のペットボトルを手に取り、喉をならして飲んだ。
「ありがとなー!」
風神RIZINGの出番になり、ライブはあっという間に終わった。
風太がにこにこしながら客席に手を振り、大和が達成感に満ちた表情を浮かべ、あおいや岬も悪くない表情でステージから捌けていく。
絋平も、まあ反省点はあるものの、悪くないライブだったと自負していて、舞台袖に向かう足取りは軽かった。
額には汗がにじみ、こめかみを滑り、顎から滴り落ちていく。
(いや、あっっっっついな)
スポットライトが当たるのだからライブは暑い。それに客や自分達の熱気も加わるのだから暑いのは当たり前だった。
しかし、今絋平が感じている暑さは、ライブで得た熱気や興奮による暑さではなかった。
(ライブで興奮して暑いとかいうのは何度も経験してるからわかるが、これはそうじゃない)
舞台袖で立ち止まり、顎にたまる汗を拭いながら絋平は大きなため息を吐くと、口をきゅっと引き締めた。
(さっき飲んだ飲み物になんかヤバいの入ってたんだろうな。けど、意識さえしっかりしておけば大丈ぶっ…………!)
「こーにいお疲れ!いやー!今日の演奏よかったな!」
瞬間、突然後ろから満面の笑みの岬が突進してきたかと思うと、肩を組んできた。
「みさっ………ちょ」
「久々に、なんつーの?テンション爆あがりっつーか」
笑う岬は絋平の事情など知りもせず肩を組んで顔を近づけてくると楽しそうに告げた。
「みさき、岬、ちょっと待て、今あんまりくっつくな」
「ん?」
慌てた絋平が岬を制するも、不思議に思った岬が、一度絋平の顔を見たあと、天井を見て、それから絋平の足の付け根あたりを見て何かを察すると、絋平は(ああ、めんどくさいことになったな)と心の中で舌打ちした。
「なんだこーにい、ライブでこーふんしちまったのか?」
にやついた岬が無遠慮に訊ねてくる。
「あー………………」
まあ、そうであってそうではないのだが……と思ったが、何も知らずにくっついてくる岬に伝えるのはなんだか癪で言い淀む。
「なんだそれならさっさとすっきりさせちまってこいよ」
すると、岬は相変わらず笑って告げるので、絋平は、むっとすると、肩にのせられた岬の手を掴んで歩きだした。
「岬、付き合え。すぐ終わる」
「えっ、ちょ、なんで俺!?一人ですりゃあいいじゃん!」
(誰のせいで余計興奮する羽目になったと思ってんだ!)
とは言えず絋平は無言のまま岬をトイレにつれていった。
終わり!