ルナの日記~シャロウアビス編~1ページ目
”るな”
”あべる”
あべる だいすき
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あべる と いっしょに どうくつを おさんぽ しましたの
とっても たのしかったですの
るなは あべるの くれた るなって おなまえ とっても すき!
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ルナはアベルにたくさんのことを教わりましたの、様々な言葉の読み書き、魔法のこと魔物さんのこと、あとはアベルが魔人という方であること、よくわかりませんでしたが、アベルは魔人と暮らしていたことを他の人に話してはいけないって言いましたの…
アベルが約束って言ったので、ルナはそれを守りますの!
でも、ここにはルナとアベルしかいないのに不思議なお約束ですの~
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ルナはずっとこの洞窟の中で暮らしていますの、アベルに色んなことを教わるのは楽しいのです。でもまだまだ見たことないところがいっぱいありますの、このお部屋から出て、お外を見てみたいですの!
でもアベルが危ないからダメだって言いますの………
どうしてダメなんですの?ルナはもう魔法も覚えましたし、1人でお散歩くらいできますのに~
そう言うとアベルは困ったように笑って、ルナの頭をなでてくれましたの
ルナはアベルに撫でてもらうのがとっても大好きですの、優しく優しくルナの頭を撫でてくれるんですの
少し冷たいアベルの手、ルナの熱でぽかぽかにしてあげますの
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今日もアベルとのお勉強が終わりましたの!
たくさん色んなことを知りましたの、ルナも、もう一人前ですの!
アベルは少しお休みしているので、ちょっとだけ部屋のお外を見てみたいですの…
ちょっとだけ、ちょっとだけならきっと大丈夫ですの
危なかったらすぐお部屋に戻れば大丈夫ですの、うん、ちょっとだけちょっとだけ!ですの!
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あべる ごめんなさい
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ごめんなさいですの、ルナはアベルとの約束を破ってしまいましたの…
お部屋のお外に出たあの日、ルナは魔物さんが後ろからルナを見ていたことに全然気が付きませんでしたの、気が付いたら背中が熱くて、視界は赤く染まって、このままルナは魔物さんに食べられちゃうんですのねって思いましたの、痛くて苦しいのに声が出なくて、アベルを心の中で呼んで、意識が途切れかけたとき、魔物さんは消えアベルの姿が見えたような気がしましたの、優しく抱きかかえられて遠のく意識の中「すまない」って小さく呟くアベルの声?なんでアベルが謝っているんですの?悪いことをしたのはルナですのに
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ルナの2歳のお誕生日アベルは「ルナお前は外の世界を見て世界を感じてきなさい」ってルナに言いましたの。
そのためにはアベルが自身の宝玉?というものを壊さないといけなくて、ルナはアベルと離れたくないって言いましたのに、アベルは優しく微笑んで、「お誕生日おめでとう」と言って目の前で宝玉を壊してしまいましたの。
アベルの名前をなんどもなんども呼んだんですの、でも大いなる力の奔流に巻き込まれてルナはどうすることもできませんでしたの。
消えていくアベルはただただ優しく微笑んでいましたの…………
そうして気が付いたら、アベルの砕け散った宝玉の欠片といつの間にか持っていたお手紙を手に持ち、どこかもわからない草原に佇んでいましたの。
アベル、アベル、どこに行っちゃったんですの…?ルナはこれからどうすればいいんですの?
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泣いて泣いて、泣きつかれて、よくわからない場所を泣きながら歩き続けて、気力も体力も無くなって、どこに行けばいいのか全然分からないんですの…
うずくまっていると、エッジ村という辺境の農家の方々がルナを助けてくれましたの、温かいシチューを頂いて、体もきれいにすることが出来ましたの、おじさまとおばさまには感謝してもしきれないんですの、温かいお布団で横になろうとしたときにいつの間にか持っていたお手紙のことを思い出しましたの。
それはアベルからのお手紙でしたの。
アベルからのお手紙を読んでまた涙が止まらなくなってしまいましたの、でも今度は、悲しい涙だけじゃありませんの。
いつかきっとアベルの魂といつかどこかで出会えるかもしれない、アベルのくれたお誕生日プレゼントをしっかりと受け取るため、ルナはこのお外の世界で楽しいことや知識を沢山身に着けたいんですの!
グッと決心し、改めてお外の世界を見てみましたの。
泣いて下を向いていたときは見えなかった、満点の星空、天井がなくてどこまでも続く高い高いお空に感動しましたの!
「あぁ、世界にはこんなにも素敵なものがあるんですのね!!」