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    ヒロ・ポン

    支部ないです。ここに全部ある。

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    ヒロ・ポン

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    SFな門梶/梶ちゃんがアンドロイドのなんのこっちゃネタです

    アンドロイドはあなたの夢を見る「お買い上げありがとうございます。初期設定の認識は完了しました。以降、ご主人様の暮らしにお役立てください。」
    「おん。名前は前のままになってるか?」
    「はい。登録名はタカオミです。」
    「まあ新しく考えるのも手間だからいいよ。よろしくタカオミ」
    「よろしくお願いします」
    ぺこ、と頭を下げたアンドロイドの頭で人口毛髪がその動きに合わせて揺れる。へらりと笑って持ち上がった頬には人工皮膚を修復した後が不自然に真新しく目立った。

    仕事と家との往復の生活である日人間としての生命を維持したりなんだりの行動がすべて億劫になりあっという間に部屋が荒れた。
    人間のハウスキーパーを入れるか、アンドロイドのハウスキーパーを入れるか、でパンフレットを取り寄せたところどちらもそこまで値段が変わらないのだと知って尚悩んだ。
    元々、他人を自分の部屋に入れるのは好きではない。雇用者と被雇用者はあっせん会社を挟んだ厳しい審査を経てそれぞれの申し込みと労働契約が締結される。
    だから安全面とか、防犯面はさして心配してはいない。心持の問題だ。
    しかし家の事はもう一切したくない。適当な結婚したがっている女とでも籍を入れて養う代わりに家の事をさせるというのも考えたが、家事の出来そうな女とつるんでいたか?とまた別の問題が出て来た。
    そんなとき喫煙所でパンフレット片手に休憩していると同僚に「いっそ買えばええじゃろ」と言われハっとした。
    また荒れ始めた室内は一旦おいておいて、インターネットで目星をつけていたハウスキーパー各種の年間契約の金額と中古の一般アンドロイドの価格を比較した。
    いい案だと思った。他人の出入りが嫌なら最初から家の中に置いておけばいいのだ。
    パートナーとしての機微や性交の機能がついたものや教育向け、精密作業向け、医療向けなどでない単純作業用であればそこまで値も張らない。
    向こう何十年と使おうというのではないのだから、最初は中古の適当なものでいいだろうと思った。

    早速、次の週末に中古アンドロイドを扱う業者に出向いた。電話連絡をしていたので希望するタイプがいくつか既に用意されて並んでおり、手前から順に説明を受けた。
    まず女性型を紹介される。もともとは保母アンドロイドだったらしい。しかしそれもここ十数年の少子化により仕事を追われ、五年程度の型落ちだという。
    次に同じく女性型で、持ち主が死去したというアンドロイドを紹介された。性交のための機能は焼いて潰されていて、何故直して販売しないのかと指摘すると苦笑いされた。
    それからいくつか男女、想定年齢も様々なアンドロイドの説明を受けた。どれも条件にはあっているがしっくりこない。
    家に老人がいるのはぎょっとするだろうし、この期に及んで女に家にいて欲しいとも思えない。消去法であれは嫌これも嫌と言って、最後に残った数体の説明を受けた。
    少しグレードは落ちるが、と前置きされたアンドロイドは青年タイプだった。
    もともとは飲食店などで労働に従事するものだったそうだが、雇用者にあたる店舗や会社が直接保有する固定登録個体ではなく個人が所有しているものを労働に出していたらしい。
    なるほど、と思った。
    アンドロイドは企業が所有してその現場で労働に従事させる分には合法だが、経営者ではない一般人が保有している個体が持ち主により労働力として第三者に提供され賃金を得るのは違法となっている。
    いうなれば、子供が働いて得た賃金を親が巻き上げているような図だ。年式を確認すればやや古いがアップデートはつい最近までされていたようだった。ならこれの元・持ち主は今頃檻の中だろうな、と察する。
    持ち主の経歴は中古アンドロイドの値付けにも響くらしくその個体は説明にある機能が載っている割には安価だった。
    金が浮いた分業者独自のサポートサービスに加入し、必要な説明を受けさっさと登録して持ち帰った。今時アンドロイドを買うなんて自転車を買うのと同じくらい簡単なのだ。


    「ご購入にあたりオーナー向け説明があります。紙媒体に掲載されているものと同一ですが口頭でのご説明はどうされますか?」
    「いや、いらんよ。それよりタカオミが自分で把握している機能を教えてくれ」
    「はい。調理及び清掃、レベル3の知性・常識的行動、疑似性交、以上です」
    「…待て、最後何て?」
    「疑似性交です」
    「あー…稼働経歴に風俗とかあったか?」
    「いいえ。生殖器の搭載はありません。擬態動作の飲食行動時のための排泄孔を用いての疑似性交の経歴があります」
    「…お前の元持ち主、カスすぎんか」
    「肯定も否定もできません。即時の使用はできませんので非正規パーツの取り付けによる行為になります」
    「まあ、置いとこか。うちでは掃除、炊事、あとは何日かか、何週間かおらん時もあるからその間の家の番をしとってくれたらええわ」
    「内部機能及び器官はレストアされています。衛生面の問題はありません」」
    「気持ちの問題よ、気持ちの」

    「?」といった表情をしたタカオミが少しかわいく見える。応答データベースに無かったものに対峙した場合の表情レパートリーだろうか。
    「とりあえず今は仮充電で動いてるんじゃろ、設定と仕事はもう夜が明けてからでええわ。ワシも寝る」
    「はい。エコノミーモードで残り17%です。推定稼働時間は2時間26分です。おやすみなさい。」
    「ここじゃなくて、あっちでな」
    タカオミの手を引いて変換プラグを噛ませたコンセントまで向かう。
    腰のあたりにある充電用コネクタに配線を繋ぎ、床に敷いたタオルケットと枕の上にタカオミを寝かせた。
    「おやすみなさい」
    「おう、おやすみ」
    横になる、枕に頭を乗せる、というあたりで「眠る」という行動を想定した返事をしたのだと思った。
    その後に目を閉じる様は人間と遜色なく、人に愛されるために人の姿にされた機械に悲哀を感じた。


    その後、タカオミは自分で充電コードを取り外して朝の五時に自分を叩き起こしに来た。
    一瞬それに怒りかけたが、カーテンの外は確かにもう明るい。「夜が明けてから」と言った自分が悪かった、と取り扱いに早速頭を抱えたのだった。

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    トーナ

    DONE初門梶SSですが、門倉さんあまり出ません。すいません…。

    裏ver書きたい。
    僕の秘密

     門倉さんに秘密にしていることがある。それは門倉さんがいない間に僕が彼のシャツを独り占めしてることだ。僕と門倉さんは恋人同士で今でもどうしてこの関係になったのかもわからない。きっかけはたぶん、プロトポロスでの出来事だろうと踏んでいる。お付き合いしてだいぶ経った頃に彼がある日仕事が長引いてなかなか会えなくて寂しくなった僕は洗濯物に混ざっているシャツを見つけた。シャツから香る門倉さんの匂い。たばこと体臭。最後に嗅いだのはいつだったか。そしてふと思いついて、実行すると寂しさが解消された。
     
     その日も僕はあることを始めた。洗濯せずに取っておいた門倉さんのシャツを抱きしめながら眠る。彼と一緒に暮らすようになって、いつしか彼の存在がそばにあるのが当たり前になっていた。だから、会えない間はそばにいないと僕は胸に穴が開いて落ち着けなくなってしまう。
    「…門倉さん」
    僕より大きいそのシャツから嗅ぎ慣れた匂いがした。その匂いがあるだけで門倉さんがいるんだと錯覚できる。だから、よく眠れるようになる。胸のあたりに顔を埋める。今は薄っぺらいシャツだけの感触しかないけど、ここには彼のたくましく厚い 1001