無職でどうでしょう「そろそろ何にするか決まった?表の仕事」
人をそんな、今はやりの無職の若者みたいに扱って、と言いたかったがすんでのところで飲み込んだ。実際、今は事実上無職だ。
警察の中にも賭郎の手の者は多数潜り込んでいる。しかし闇討ちや潜伏ではなくある種正規のそれにも近い手順で引っ張り込まれた身としては即時、警察組織に戻るというのは難しかった。
鷹さんは「別にどこでだってやっていくさ」と早々に賭郎の用意した場所で中華飯店を営み、数人の黒服を従業員としてデカ盛りとほかメニューの味で「店主が怖い」と書き添えられながらも食べログ3.4の店になっている。
さて、と居住まいを正した。現在の主人である青年のいう事も最もである。賭郎は人材の宝庫というが、それは裏社会一本の話ではない。みな表の世界のどこかに根を下ろし、その要の地下茎、果実、種子たるものが賭郎である。
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