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    星澤雷光

    @hoshizaw

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    星澤雷光

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    CBC礼装のカリギュラ先生で学パロぐだカリだ~ヤッタネ
    カリギュラの名を名乗っておらずゲルマニクス先生になっております。それからぐだ男くんの捏造両親が出てきます。
    昔アイドルやってた系伯父上。

    #ぐだカリ
    guacamole

    「うわ懐かしいビデオデッキじゃん」
     藤丸立香が朝起きてリビングに行くと両親がTVにデッキを繋いでビデオを再生していた。
    「そうなのよ、大掃除してたら見つけちゃって」
     液晶に流れるのはいつか見た古いドラマの録画映像。可愛らしい子供が大人顔負けの演技力で泣くシーンを演じている。
    「これ20年以上前のドラマよね、立香が産まれるより前の」
    「立香このドラマの子役の子が好きで何回も見てたよなぁ」
    「え? そうだっけ?」
    「そうだよぉあっほらこのCMのダンス真似して一緒に踊ったりな」
     ドラマはCMに入っていたが先ほどの子役の子はCMにも出演していた。赤いチュニックにグラディエーターサンダル、ヘルメットや鎧……古代の兵隊の衣装だろうか? それを着て元気よく歌って踊っている様子が映し出されている。
    「あ~なんかうっすら思い出して来た」
     そんな会話をしながら用意したコーヒーとトーストを持って朝食の置かれたテーブルに付く。
    「この子役の子、CMにも引っ張りだこだったのに急に見なくなったよね~」
    「そういえばそうだったなぁ何かあったのかな? 名前はなんだったっけ……」
     両親がそんな会話をしている横でトーストの上に目玉焼きを載せてぱくつく間もドラマは子供を映していた。立香はじっと子供に見惚れて可愛い子だなぁとぼんやり想いながらその日の朝食は終わった。


     休日に両親のところに顔を見せに行ったあと立香は寄宿学校へと舞い戻って来た。優秀な生徒ばかりが集う名門寄宿学校に自分がなぜ入学できたのかよくわからないが、実家で安心感を堪能して抜けた気を引き締め直し学校へと向かう。登校中の他の生徒たちに混じり歩いていくと校門を挟むように背の高い偉丈夫が2人立っているのが見えた。大きなよく響く声がここまで聞こえてくる。
    「おはよう! 我が子らよ」
     元気よく朗らかに生徒たちに挨拶をしている長髪の男性は何を隠そうこの学校の学長ロムルス=クィリヌスその人である。一方校門を挟んで反対側に立つジャージ姿の短髪の男性は立香の担任の先生であり体育教員でもあるガイウス・ユリウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス先生である。ゲルマニクス先生は無口なので挨拶はしていなかったが生徒たちを穏やかな瞳で見つめていた。この2人は背格好や髪色に雰囲気もどことなく似ているので親戚ですか? と聞いたことがあったがクィリヌス学長はゲルマニクス先生をさして「弟のように思っている」と答えていた。
    「おはようございます」
     ゲルマニクス先生の横を通るとき挨拶をすると頷くように頭を軽く動かしてくれた。その時の顔がわずかに口角が上がって微笑んでいたように見えてなんだか嬉しくなってしまう。今日も一日がんばろう。晴天の下ウンと伸びをしながら昇降口へと入って行った。

     太陽も真上に近くなったころチャイムの音が校庭に鳴り響く。体育の授業が終わって上がった息を吐きながら木陰にへたり込む。隣では友人の岸浪白野が水筒の水を飲んでいた。
    「あ~疲れた、ったくサボってるとすぐバレるのなんでだよ……」 
     ぶつくさ言いながら校舎に帰っていくクラスメイトたちを見送る。ゲルマニクス先生の授業は結構スパルタな上、無口で何を考えているかいまいちわからない先生のことを苦手に思う生徒も多いようだ。しかし先生の様子をよく見ていると生徒に合わせて指導しているのがわかる。やれると思う生徒には厳しく、できない生徒にはそこまで強要していないのだ。立香は自分に対しての指導が少し甘めのような気がして逆に奮起していた、もっとやれるぞというところを見せたくなって今回のようにへばることがしばしばあった。
     授業で使った道具の後片付けを手伝いたかったが体が言うことを聞きそうになかった。先生が片付けをする様子を遠巻きに眺める。その横顔を見ていて、ふとおぼろげなデジャヴを感じる。
    「う~~ん?」
    「どうした?」
     唸る立香に隣の白野が声をかける。
    「いや、ゲルマニクス先生ってどこかで見たことある気がするんだよな……」
    「ネロの伯父さんだから雰囲気が似てるとか?」
    「え?! ネロってあの……歌がその……独特なアイドルの?! 伯父さんなの!?」
     さらっ爆弾発言が投下された。ネロといえば今をときめくアイドルである。白野は軽く頷いた。
    「え~! そうなんだサインもらえるかな」
     白野が笑いながらミーハーと揶揄して来たので苦笑しつつネロの顔を思い出しながら改めてゲルマニクス先生を見やる。意外と童顔で愛らしい部類ではあるが、ネロと似ているかと言われるとそこまでではないだろうか。
    「う~んそれが理由ではない気がするなぁ……でも、アイドル、アイドル……?」
     何かが頭で引っかかっている。歌って踊る……こないだ両親と見た古いドラマ、その間に挟まるCMの映像と両親の会話が急にフラッシュバックした。
    『名前はなんだったっけ』
    『え~っと確か……』
     ぼんやりTVの中の子役を眺める立香の横で両親が話していた名……。

    「……あ! 小さな軍靴(カリギュラ)ちゃん!!」

     立香は雷に打たれたように思わず大声でその名を叫んでいた。あの青い髪、眼の色が違うのが不思議だがしかし間違いなくあの子であると何故か立香は確信していた。
     一方ゲルマニクス先生は目を見開いて驚愕の表情でこちらを見ていた。持っていたサッカーボールが手から滑り落ちぽんぽんと転がっていく。と同時にものすごい速度でこちらに向かって来た。
    「え、え?」
     鬼のような形相で迫って来る先生にたじろぎ逃げようかと思ったがそれよりも早く立香の体は宙に浮いた。
    「サビニ……」
     白野がかつて古代ローマで行われた掠奪の逸話を小さく呟く。
    「ガイウスよ、生徒に手を出したら駄目だぞ」
     抱き上げられてどこかに攫わていく立香を、白野とちょうど通りかかったクィリヌス学長はのんびりと見送っていた。


     春とは言ってももう暑いほどになっている気候の中、大の高校生を担いで全速力で走ったゲルマニクス……いや、カリギュラは肩で息をしていた。ひとけのない校舎裏に立香を壁ドンしつつ俯いて息を整えている。立香はカリギュラの浅黒い肌の上を汗がぽたりぽたりと流れ落ちる様子をドキドキしながら眺めていた。随分長い時間にもほんの一瞬のようにも感じたが、しばらくするとあの赤い不思議な目がこちらを見上げて来た。そしてそっと人差し指を口に当てる。
    「その……名は、秘密……だ」
     かつて子役をやっていたことを知られたのが恥ずかしいのか顔を真っ赤に染めた困り顔でカリギュラはそう言った。
    「はい……♥」
     その顔に、立香は完全にやられてしまった。そもそも立香は幼い頃、あの子役のカリギュラに初恋をしていたのかもしれない。その人にまたこうして巡り会った奇跡。そして2人だけの秘密、完全に舞い上がっていた。
    「あ、いや! やっぱダメちょっと待ってください、そうだ! 休みの日にパンケーキ! パンケーキ食べに行きましょう」
     突然の申し出にカリギュラは困惑した顔をするが、すぐに思い至ったように頷く。
    「わか……った、口止め……料、だな……?」
     そういうわけではなく本当は単にデートしたいだけの口実というのは内緒にして立香はうんうんと頷き、二人だけの秘密に心躍らせるのであった。



    「ゲルマニクス先生、生徒に壁ドンしてたって話し聞いた?」
    「聞いた聞いた、この前カフェでデートしてたの見たってやつが……」
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    「これ20年以上前のドラマよね、立香が産まれるより前の」
    「立香このドラマの子役の子が好きで何回も見てたよなぁ」
    「え? そうだっけ?」
    「そうだよぉあっほらこのCMのダンス真似して一緒に踊ったりな」
     ドラマはCMに入っていたが先ほどの子役の子はCMにも出演していた。赤いチュニックにグラディエーターサンダル、ヘルメットや鎧……古代の兵隊の衣装だろうか? それを着て元気よく歌って踊っている様子が映し出されている。
    「あ~なんかうっすら思い出して来た」
     そんな会話をしながら用意したコーヒーとトーストを持って朝食の置かれたテーブルに付く。
    「この子役の子、CMにも引っ張りだこだったのに急に見なくなったよね~」
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