天の末裔1———遠い未来、人類によって繰り返される環境破壊のために、世界は荒れ果てた。
異常気象により猛威を振るう自然災害の前に人類はなすすべもなく土地を追われ、居住地をめぐっての戦乱の果てに連綿と受け継がれてきた科学技術の多くを失った。数を急激に減らしていきながら、生き残った人類はわずかな自然を頼りに細々とその生を繋いでいた。
しかし、あとは衰退するばかりのその運命に異を唱えた者たちがいた。
彼らは再びの人類の繁栄を夢見て、新たな帝国を立ち上げた。太古の昔、全知全能の神を育んだとされる獣の名にちなみ〈アマルテイア〉と名付けられた帝国は、諦念を抱く人々の希望の光となっていった。
しかし、誰もが期待に胸を膨らませた光の帝国は一夜にして滅び去った。
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