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    伊那弥彪

    ラクガキと二次創作文物置。支部にアップしたりする。

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    伊那弥彪

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    支部に投稿したうぎゅ短編

    ##短編集

    宇妓短編2本【熱で確かめさせて】継子if

    鬼殺隊音柱・宇髄天元は自分の任務を終え、自分の屋敷へと戻って来ていた。いつもならば、屋敷で一休みをし次の任務へと出掛けるのだが、今日はそういうわけにもいかなかった。自分の唯一の継子が初めての単独任務へと向かったのだ。継子にする程なので実力は申し分ない。だが、やはり初めての単独任務となると心配してしまう。
    屋敷で一休みせず、屋根の上でずっと耳を澄ませ続ける宇髄。静かな夜に聞こえてくるのは、夜鳥や虫といった生物の鳴き声と、風の吹く音。その様々な音の中からひたすら捜し続ける。自分の継子が帰ってくる音を…。
    まだか…まだか…といつも以上に長く感じる時間に苛立ちを覚え始めた頃……

    「!」

    宇髄は目を見開き、立ち上がった。そして、音を置き去りにしそうな速さである場所に駆け出す。そこは木々が生い茂る森の中…屋敷から離れたその森に宇髄は一瞬で駆け付ける。そして、その森の中で見つけた人影の背に声をかけた。

    「妓夫太郎!」

    妓夫太郎と呼ばれた鬼殺隊隊士は、その声に振り向き宇髄と視線を合わせた。宇髄の紅い瞳とは対象的な空色をした瞳。うねりのある癖毛の髪型と顔に特徴的な痣を持つその隊士は、宇髄の姿を確認した後、声をあげた。

    「はぁぁぁッ!?アンタッ何でここにいんだよぉッ!屋敷で待ってる筈じゃなかったのかぁぁッ!?」

    その元気な声を耳に入れ、宇髄はようやくホッと胸を撫で下ろす事ができた。そして、己が継子・妓夫太郎の元へ駆け寄り、その顔を両手で包み込むと、ワシャワシャと揉みしだき始める。

    「おーおー!無事で何よりだ!さっすが俺様の継子!」

    「イヤッ!揉みしだくなよなぁぁッ!」

    自分の頬を揉みしだく宇髄の手を止めようと、妓夫太郎は宇髄の腕を掴むが、力では宇髄に勝てずそのまま揉みしだかれ続ける。

    「ん?」

    自分の腕を掴む妓夫太郎の腕を見た宇髄は、その腕に擦り傷やら小さな傷が付いているのが目についた。

    「おいッどうしたんだ、この傷ッ」

    「傷ぅ…?あぁ、この擦り傷か…これは…」

    「鬼にやられたのか!?」

    「んな訳ねぇだろ。鬼にやられて擦り傷ってアンタ…これは、移動中とか戦闘中に木々に擦ってできちまった傷だよ」

    「良し。蝶屋敷行って治療受けんぞ」

    「落ち着け柱ぁ。この程度なら唾つけときゃ治るわ。大体、この傷負ったのは、この袖無し隊服のせい…」

    「ん?俺の継子なんだから、隊服は俺と揃えるに決まってっだろ」

    「あぁうん。もう普通の隊服は諦めたわ」

    何というか、過保護過ぎる師匠に妓夫太郎は若干引き気味となってしまう。そんな事お構いなしに、宇髄は可愛い継子が怪我もなく無事な姿で自分の元へ帰ってきた事を喜びに喜んで、いつも以上に構い倒す。
    本当に心配していた。その身を。本当は手元から離したくねぇし、自分の目の届かないところになんか行かせたくなかった。自分が過保護過ぎるのは分かってる。けど、コイツだけはどうしても失いたくないんだ。
    そんな強い想いを抱きながら、宇髄は妓夫太郎に優しい微笑みを向け、その頭を優しく撫で始める。

    「任務の報告は済んでんだろ?屋敷に帰ってゆっくり休め」

    宇髄に優しい微笑みを向けられた上に、頭まで撫でられている妓夫太郎は頬を赤く染まらせ、気恥ずかしさから視線を泳がし始める。

    「どうした?」

    「いや…その…休みてぇのは山々だけどよぉぉ…」

    視線を泳がせたまま、何やら身体をもぞもぞと動かし始める妓夫太郎。そんな妓夫太郎の異変を察した宇髄は、妓夫太郎の言葉を待った。

    「その…まだ興奮しちまって、寝れねぇっていうか…その…何つうか……」

    宇髄の優れた聴覚に妓夫太郎の心音が響く。激しく鳴る鼓動。それは身体が興奮している証…
    その証に、宇髄はフッと笑みを浮かべ、妓夫太郎の身体を優しく抱き締める。

    「んじゃその興奮冷めやらぬ内に、お前が無事帰ってきた事を俺に実感させてくれ」

    そう言い、宇髄は妓夫太郎の唇へ唇を重ねていく。宇髄からの口づけに妓夫太郎は思わず目を瞑ったが、チュウと音を立てて上唇を吸っただけで宇髄は唇を離していく。もっと宇髄と口づけをしていたかった妓夫太郎は、その一瞬の口づけに不満げな表情を浮かべてしまう。

    「こんだけかよ…」

    「続きは屋敷に帰ってからな」

    そうニッコリと笑いながら告げて、宇髄は妓夫太郎を抱き上げ、自分の屋敷へと駆け出す。
    自分よりも逞しいその胸に抱かれ、妓夫太郎は「あぁ。無事帰ってこれたなぁぁ」と実感し、その胸に顔を埋めた。

    その後、屋敷へと戻った二人は互いの熱を感じ合い、実感し合う。無事に再会できた喜びを、心ゆくまで。



    ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




    【寝惚け注意報】同棲パロ

    日曜朝の7時。仕事は休みなので急ぐ事はないのだが、妓夫太郎は朝食の準備の為にまだ眠い目を擦りながらベッドからむくりと起き上がる。全裸の状態で。
    昨夜は同居人恋人の宇髄と激しく身体を求め合った。その疲れの為かいつも以上に脳が起きる事を拒否し、妓夫太郎は今、寝惚けた状態であった。そんな状態でも隣で眠る恋人宇髄を起こさないよう心配りをしながら、昨夜ベッド下に脱ぎ捨てた衣服を手で漁り出す。
    とりあえずシャツを〜と、自分が着ていたであろう黒の長Tシャツを寝ぼけ眼で見つけて手に取り、のろのろと着だす。

    「んんあぁ?」

    シャツを完全に着たところで妓夫太郎はある異変に気付く。

    (何か……ブカブカだなぁぁ)

    襟周りはゆるゆる、袖は所謂萌え袖状態…明らかにサイズが違う。それもその筈…その黒シャツは恋人である宇髄のものなのだから。
    昨日は二人とも黒シャツだった。違いは、宇髄がVネック、妓夫太郎が丸襟、後はサイズ、それだけである。普通ならVネックで明らかにサイズの大きいシャツを着てるのだから、自分のではないと気付くのだが、

    (……洗濯で緩んだかぁぁ?)

    妓夫太郎は気付かない。何故なら寝惚けているから。
    妓夫太郎はシャツを不思議に思いながらも、まぁ良いかぁと今度は下着を探し始めるが、襟元からフワッと香る匂いが気になり、下着を探す手を止め、襟元を掴んでその匂いを確かめる。

    (何か良い匂いするなぁぁ…柔軟剤とかじゃないなぁぁこれぇぇ…)

    スンスンと香り、その匂いの心地良さに寝惚けていた妓夫太郎の脳は更にぼーっとし始める。まるで夢心地のような状態である。

    (俺、この匂い好きだなぁぁ……)

    シャツから香る匂い…それは妓夫太郎もよく感じている匂い…宇髄自身の香りである。だが妓夫太郎は気付かない。何故なら寝惚けているから。
    そして妓夫太郎はもう1つ気付いていない事があった…それは……

    (待て待て待て待て待て待て!)

    隣で眠っていた宇髄が目を見開いて、自分の行動をずっと見つめていた事である。

    (目ぇ開けたら可愛い生き物が俺のシャツ着てその匂い嗅いで満足そうに微笑んでたんだけど!?は!?何だこの可愛い生き物!?あ、俺の嫁だったわ!!)

    妓夫太郎とは違い、脳が完全に覚醒している宇髄は、妓夫太郎の愛らしい行動に目をギラギラさせ、欲情を高めていく。そして、

    「あぁぁ!もう我慢できねぇぇ!!!」

    「!?は!?」

    欲情を抑えきれなくなった宇髄は勢い良く起き上がり、そのまま己のシャツを着た妓夫太郎をベッドへと押し倒してしまう。寝惚けていた妓夫太郎は、宇髄の叫びとベッドに押し倒された衝撃でようやく脳が起きたが、突然の出来事に情報処理が追い付かず、目を丸くして宇髄を見つめていた。

    「え!?は!?な、何だよ急に…!」

    「いや誘ってきたのお前だからなッ?俺は何も悪くねぇッ」

    「はぁッ!?俺がいつ誘った……」

    「お前が今着てるシャツ、誰のだ?」

    「は?シャツ……?」

    宇髄のその言葉を受け、妓夫太郎は自身が着ているシャツを見る。そんなもの自分のものに決まっていると思っていた妓夫太郎だが……

    「………ん"ッ?」

    Vネックに自分のサイズより大きいシャツ……間違いなく、恋人のシャツである。その事実に妓夫太郎は笑みを引き攣らせながら、ドンドン赤面していく。そんな妓夫太郎の反応にも宇髄の欲情は刺激され、ドンドン膨らんでいく…。

    「そんなに俺のシャツ好きなら、それ着たままヤろうぜ」

    「ぃや、ぁの…ち、ちょっと待て…」

    「俺のシャツの匂い、メチャクチャ嗅いでたもんなぁ、妓・夫・太・郎」

    「ッーーーー!天元、待ッ…!」

    舌なめずりをしながら覆い被さってきた宇髄に、妓夫太郎は静止を求めたが時既に遅し…宇髄の欲情は爆発し、昼過ぎまでその欲情は尽きることがなかった…。
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