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    伊那弥彪

    ラクガキと二次創作文物置。支部にアップしたりする。

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    伊那弥彪

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    宇妓、直接描写は無いけどヤッてる、何でも許せる方向け
    最近少しスランプ気味

    ##宇妓
    ##柱鬼

    幸せな音を奏でようもし俺がもっと早く生まれていたのなら、お前を救えただろうか…

    もしお前がもっと遅くに生まれていたのなら、俺がお前の元に行けただろうか…

    そんな事考えても無駄だという事は分かってる。

    お前が今まで食らってきた命は数知れない。
    それは決して許されない事だ。

    だが、俺だけはお前を許しても良いんじゃないか。
    俺だけはお前を幸せにしても良いんじゃないか。

    愛おしそうに俺を見つめ、俺に救いを求める手を差し伸べてくるお前を…。

    俺はその手をそっと握り締める。
    握り締めて、お前の唇に唇を落としていく。
    重なる身体。感じる体温。
    この体温を感じる度に、嗚呼…お前に出会えて良かったと思う。

    人と鬼…決して交わる事が許されないと知っていても、俺はもう止まらない。止まれねぇんだ。

    コイツを幸せにするまでは…



    「妓夫太郎」
    「んッ…あッ…?」

    愛おしい男の名を呼ぶ。
    愛おしいその男は俺に大人しく組み敷かれて、身体を俺に委ねている。頬を紅潮させて、熱い息を吐いて…潤んだ瞳で艶めかしく俺を見つめてくる。
    嗚呼…本当にお前は俺の心を取り立ててくれるな。

    「妓夫太郎…愛してるぞ」
    「ッ…き、急にどうしたんだよッ」
    「ん?俺が愛を囁くなんていつもの事だろ?」
    「そ、それはそうだけどよぉ…でも、何か…さっきのはいつもとちょっと違うっつうか…」
    「ん?」
    「…な、何か、小っ恥ずかしい感じがしたんだよなぁ」

    そう言って妓夫太郎は、俺から視線を外して耳元をボリボリと掻きだす。恥じらう時に見せる仕草だ。俺の言葉を嬉しく思ってくれてんだろうな、とクスッと笑いが出てしまう。

    「な、何で笑うんだよっ…」
    「ん?可愛いなぁと思ってな」
    「なッ」

    俺の言葉に驚いたように目を見開いて固まる妓夫太郎。何を今更驚いてんだ。俺がお前を可愛いと思ってんのはいつもの事だろ?
    耳元を掻いていたその手を握り締めて、口元に運んでは甲に唇を押し当てる。チュッと音を立てて優しく吸い付けば、妓夫太郎はビクッと小さく震え「んッ」と可愛い声を上げてくる。
    嗚呼…本当にお前の全てが愛おしい。

    「なぁ妓夫太郎…」
    「ッ…んだよ」
    「幸せか?」
    「…は?」
    「俺に抱かれて愛を囁かれて…幸せか?」

    自分の欲望の為だけに俺はコイツを抱いてるわけじゃねぇ。コイツを…妓夫太郎を幸せにしてぇから抱いてんだ。だから、コイツが幸せを感じていねぇと意味がねぇんだよ。

    「な、何だよ急に…」
    「良いから、答えろよ」
    「ぃ、いや…幸せっつうかなんつうか…」
    「…即答できねぇって事は幸せじゃねぇのか?」
    「そういう事じゃねぇよッ。その…俺は、幸せっつうのがよく分からねぇからよぉ…ただ…」
    「ただ?」
    「…オメェに抱かれてっ時は気分良いし、何か胸ん中がこう熱くなってくるっつうか…それが心地良い感じは、する…」

    返答に困ったみてぇで妓夫太郎は眉を顰めながらそう答えた。
    おう。それが幸せって事だぞ。今まであまり幸せを感じて来なかったから分からねぇんだな。
    妓夫太郎が幸せを感じてくれていた事に安堵して俺は頬が緩んでいく。それと同時に愛おしさも急増して、その細い身体を抱き締める。

    「なッ…ぉ、ぉいッ…」
    「妓夫太郎」
    「何だよッ」
    「愛してるぞ」
    「ッー!な、何なんだよッ今日は!」
    「愛してる、妓夫太郎」

    顔真っ赤にして迷惑そうな顔をしてるが、本当は嬉しく思ってんの分かってんだからな。お前自身が俺に知らせてんだから。
    聞こえてくるんだ。お前の心音が。俺に名前を呼ばれて、愛を囁かれて、その度に弾む心音が、お前の胸から。その音が聞き心地良くて、ずっと聞いていたくて、俺は何度も何度も囁く。何度も囁いて、唇を重ねて、互いの熱を交わらせて、お前は幸せの音に包まれていく。

    「ッは、ぁあッ…!あッ…て、天元ッ…」
    「妓夫太郎…」
    「ぁッ…ぉ、ぉれも、愛、して、るから、なぁぁッ…」

    吐息混じりに伝えてくれた愛の言葉に、俺の心音も弾む。
    お前の心音と俺の心音が奏でる音が俺達を包み込む。
    この音が鳴り止まないように、俺はこれからもお前の側にいるからな、妓夫太郎。
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