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    Nkky_108

    @Nkky_108
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    Nkky_108

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    リア友から貰った『抱き枕』というお題で授業中に見た幻覚です。もしかしたら加筆修正して支部 or Twitterにも載せるかもしれません。付き合ってるし急に時空飛び越えて結婚してるので注意。

    「青柳くんは抱き枕って使うの?」
    「抱き枕……?」

    いつも通りの小豆沢との帰り道。多分小豆沢は帰り道の途中にあるゲームセンターの店頭のクレーンゲームを見ていったんだろうが、あまりにも唐突で思わずオウム返しをしてしまった。親しき中にも礼儀あり、と言うし機嫌を損ねてしまっただろうか、と不安になるが小豆沢は何も意に介していない様子で話をつづけた。

    「青柳くんにあんまりそういうイメージがないから気になっちゃって。あっ、答えたくなかったら無理しなくても大丈夫だよ」

    自分が抱き枕を抱えて寝ている様子は想像できないのか、うーんうーんと首をかしげている。小豆沢は自分の体より大きい枕を抱えて寝てそうだとかしょうもないことを考えている自分に苦笑する。今は俺のことについてきかれているのだからきちんと答えなくては。

    「抱き枕は使わないな。寝るときは静かに寝たい。抱き枕を抱えて寝ようとしたこともあるんだが、どうしても人がいるような気分になるんだ。それ以降は抱き枕は使わなくなってしまったな」

    部屋に誰かがいる、ということは部屋に家族がいる気分がする、という意味でもある。家族は昔から俺にとってプレッシャー以外のなんでもなかった。24時間管理体制のような日常で俺はお人形。今はまだましなほうだが、それでも事細かに口出しをしてきて俺のことを否定する言葉ばかりあびせてくる。だから部屋に家族がいる気分がする、というのは落ち着かないのだ。抱き枕はそもそも人を抱きしめるときの格好になる。意図せず抱きしめるというポーズをとることで、人を意識してしまうのだろうか。いずれにせよあんまりいい気分にはなれないのだ。

    「そっか……。抱き枕プレゼントしようかなって思ってたんだけど……」
    「プレゼントか?なにかそんな行事があっただろうか?」
    「ううん、なにもないよ。ただ私があげたくなっただけなの。色々アドバイスをもらってるし、それに」

    私、恋人に何かを贈るって一つの夢だったんだ。

    「そうか。……なら俺もなにかプレゼントしたい」
    「じゃあ、プレゼント交換にする?」
    「ああ、いいと思う。俺も小豆沢に自分があげたものを持っててもらいたい。」
    「青柳くん。その発言はずるい…………」

    ふい、と顔を背けられてしまった。少し悲しい。だが真っ赤な耳までは隠しきれていない。そんなところも可愛いと思う。プレゼント交換、楽しみだな。さて、どんなプレゼントがいいだろうか。

    ___________________________

    26歳の冬は小豆沢と結婚して念願の同棲生活が始まった。一緒の家、一緒の車、一緒のベッド。結婚する前までは同棲していなかったため結婚してから変わったことは多い。一緒に暮らす、というのはとても心が温まって幸せなものだ。特に朝。こはねよりも先に目が覚めるからこそこはねの寝顔が見れる。なんともふわふわな顔で寝ていてほっぺをうにーっと伸ばしたりツンツンとつついてみたり。はたまたぎゅーっと抱きしめてみたり。そんなことをしてるとこはねも起きてしまうが、高頻度で抱きしめているのでこはねが逃げ出すこともなく、寝起きのこはねを堪能できるのだ。

    「冬弥くん、楽しそう」
    「楽しそう……、たしかに幸せな気持ちでいっぱいだ」
    「そっか。じゃあ、もうなにかを抱きしめても辛くないんだね」

    何のことだろう。思考を巡らせて記憶を辿っていくと一つの思い出が浮上してきた。プレゼント交換をしたまだまだ付き合って間もないころのお話。そういえばこはねは俺に抱き枕をあげようとしていた。抱き枕、か。たしかにあの頃は抱き枕を抱えて寝ることさえ無理だった。どうしても目が冴えてきて寝れなくなってしまっていた。だがそんな時期があったことを忘れるほどに今は幸せで充実していて。

    「今なら、抱き枕プレゼントできる?」
    「ああ。…………いや、もう抱き枕はもらっているな」
    「え?あげてないと思うけど……」
    「もらった抱き枕は_」

    冬弥くん、と俺の名前を呼んでふにゃりと笑う、可愛くてやまない大切な抱き枕(最愛の人)。
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    Nkky_108

    DOODLEリア友から貰った『抱き枕』というお題で授業中に見た幻覚です。もしかしたら加筆修正して支部 or Twitterにも載せるかもしれません。付き合ってるし急に時空飛び越えて結婚してるので注意。「青柳くんは抱き枕って使うの?」
    「抱き枕……?」

    いつも通りの小豆沢との帰り道。多分小豆沢は帰り道の途中にあるゲームセンターの店頭のクレーンゲームを見ていったんだろうが、あまりにも唐突で思わずオウム返しをしてしまった。親しき中にも礼儀あり、と言うし機嫌を損ねてしまっただろうか、と不安になるが小豆沢は何も意に介していない様子で話をつづけた。

    「青柳くんにあんまりそういうイメージがないから気になっちゃって。あっ、答えたくなかったら無理しなくても大丈夫だよ」

    自分が抱き枕を抱えて寝ている様子は想像できないのか、うーんうーんと首をかしげている。小豆沢は自分の体より大きい枕を抱えて寝てそうだとかしょうもないことを考えている自分に苦笑する。今は俺のことについてきかれているのだからきちんと答えなくては。

    「抱き枕は使わないな。寝るときは静かに寝たい。抱き枕を抱えて寝ようとしたこともあるんだが、どうしても人がいるような気分になるんだ。それ以降は抱き枕は使わなくなってしまったな」

    部屋に誰かがいる、ということは部屋に家族がいる気分がする、という意味でもある。家族は昔から俺にとってプレッシャー 1690

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