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    konoka396

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    konoka396

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    おつごちで書きたいシチュを思いついたけど、3人の関係性の整合性が取れなかったりしたから供養
    書きたいところと設定だけ書き出した

    霊力と記憶を無くしても、おつごちからは逃げられない話「見つけたよ、おつう」
     慣れない仕事に追われて、やっと帰路に就いていた時だった。
     下には少しだけ車通りがあるとはいえ、誰もいない歩道橋。それなのに男の人の声が聞こえた気がして、少し怖くなって背後を窺ってみる。
     誰もいない。途端、背中にゾクリと寒気が走る。私は逃げ出すように、駆け足で階段を駆け降りた。

     昔から、霊感の強い方ではあった。
     小さい頃は"それら"と人間の区別がついていなくて、よく側から見て、何も居ない空間に話しかけているような子どもだった。小学生の頃にようやく判別がつくようになって、周りから気味悪がられることは少なくなった。
     中、高と少しずつ"それら"の影は薄くなっていって、最後に"それら"を見たのは四年半前。——私の、記憶が途切れる前だった。

     そう、私には、ここ四年間の記憶がない。
     半年前に見知らぬ病院で目覚めてから、どうしても思い出せないのだ。本当に綺麗さっぱり無くなっていて、まるで目が覚めたら四年後にタイムスリップしたかのようだった。
     記憶がなくなっているようだと医師の説明を受けたにも関わらず、信じられなくて、前の職場に電話をかけたら退職扱いになっていて軽く絶望した。
     今は目覚めた病院から紹介された、公共機関の事務のパートで食い繋いでいる。なぜ普通の病院に公共機関の仕事を紹介できるような伝手があるのか、疑問は残るが、胡散臭さよりも生活を取った。
     まぁでも、紹介された先の仕事仲間もいい人ばかりで、ようやく馴染めて来たところだった。


     早足でアパートの階段を駆け上がり、急いで鍵を開ける。
     後ろ手でバタンとドアを閉め、ズルズルと崩れ落ちた。
     正直、今までは"それら"が見えていたから、見えなくなってしまった今のこの状態で、ナニカが居ると匂わされるのは苦手だった。
     鍵をかけ、チェーンもかけて、這いずるようにして廊下へ上がる。なんとかパンプスを脱いで、荒い息を吐きながら寝室のベッドへ潜り込んだ。
     スーツがシワになるとか、手洗いうがいがとか、夜ご飯を食べなきゃとか、知ったこっちゃない。早く朝になって欲しかった。


     ガチャ。
     毛布を引っ被って三十分くらい経った頃だろうか。流石にそろそろ見えないナニカに緊張するのも疲れて、着替えて手洗いうがい、メイクも落とさなきゃなと考えていた時だった。
     扉が開く音が、小さく聞こえて背筋が凍る。
     恐る恐る毛布から顔を出して確認してみると、寝室の扉が開いている。
     帰って来た時、慌ててて閉め忘れちゃった?うそ、今、何か入って来た音したよね?寝室の扉は閉めておくべき??それとも毛布の中で息を殺してじっとしておくべき???
     脳内で不安がグルグル渦巻いて、うまく手足が動かせない。

     寝室のフローリングがギシリと小さく音を立てて、そこにナニカがいる気配がする。
     見えない、けれどもよく知った感覚に恐ろしさで泣きたくなった。
     あぁ、もう逃げられない。動けない。どうか、どうか、向こうが私のことに気が付きませんように。
     ぎゅっと目をつぶって祈る。ちゃんと"それら"が見えていた時に神様らしきモノを見た記憶はあまりないが、今はなんでもいいから縋っていたかった。

     空気が揺らいだ気がする。
     遠くへ行ってくれたのだろうか。それとも、近くに寄ってきてしまったのだろうか。それすらもわからない。怖い、怖い。
     震えることもできずに身を固くする。

     や……っ、やだ……っ!
     また、空気が揺らいで、額に何か触れた気がする。
     額だけではない。頬に、鼻先に、閉じた瞼に。微かに触れられては離れる、柔らかな感触。
     怖さで溢れそうな涙を堪えて、必死に死んだふりをした。こういうモノたちには、関わってはいけない。知らないふり、見えないふりをするのが一番良かった。


    「うーん。主、目を開けないね。寝ちゃってるのかな」
    「んん……こっち見てくんねーと、霊力が戻ってるかわかりづらい……」
     男二人の話し声が聞こえる。一人は歩道橋の上で聞いた声と同じ気がする。
     まさか、家まで追ってきた?見つけたって言ってたし、そういうこと?
     でも"それら"とは小学生の頃から出来るだけ関わらないようにしてきた。主と呼ばれるような関係を持った記憶はない。
     人違いだ。私とは関係ない。こうして目を閉じていればきっと間違いだと気づいて、離れていってくれる……!
     そう信じて必死に目を閉じる。

    「やっぱ唇にキスしちゃう?」
    「……まぁ、ナシではない。けど」
    「おつうがしないなら、ボクがする」
    「……はぁ?」
    「……あ。」
     眠そうな声が、ドスを効かせて凄んでみせた次の瞬間、唇に触れる柔らかい感触。
     うそ、嘘、もしかして、キスされてる……!?初めてなのに!初めてなのに、姿も見えないナニカに唇を奪われている…!
     思わず、逃げようと顔を動かす。寝たふりを貫き通すため、目を閉じたまま寝返りのように首を捻る。

    「ダメだよ、主。逃げないで」
     上から声がして、また唇を奪われる。歩道橋で聞こえた方の声だった。
     左頬に感触がして、逃げようにも上を向いたまま固定されている。チロリと唇を塞がれたまま擽られ、舌先で舐められたと察した。
     ぎゅっと拒否するように唇を引き結ぶ。舌先は中に入りたがるようにアピールしていたが、入れないとわかると、すぐに離れていった。

    「主……起きてるよね?」
    「ん。さっきから瞼がぴくぴく反応してる」
    「ね、目を開けて、主」
     耳元で二人の声がする。歩道橋で聞こえた時よりも、やけにハッキリ、クリアに聞こえるものだから、本当に誰か人がそこに居るようだった。

    「主?そんなに寝たふりすんなら、おれ、夢ん中に会いに行くけど。……なんちて」
    「まぁ、それもアリだよね。おつうがちゃんと、ボクも連れていってくれるなら」
    「えー?めんど。ごっちんは自分でなんとかしな」
    「ひどい!ボク知ってるんだよ!おつう、本丸でもちょくちょく主に夢渡りしてたでしょ」
    「ちっ、バレてんのかよ。……主は覚えてないみたいだったし、抜け駆けじゃねーもん」
    「ボクはおつうが覚えてる方が問題だと思う」

     ……全然離れてくれない。
     寝たふりはバレているようだけれど、知らないふり、聞こえないふりを継続するため目は閉じたままだ。しかし、話し声は全く途切れなくて、二人がずっとそこに居ることが嫌でもわかる。
     話の内容は、誰かとの思い出を語っているようだけれど、半分も理解できない。


    「……ごっちんどいて。おれがもーいっかいやる」
    「ん?わーかった」
     ずっと頬に触れたままだった、布越しの大きな手の感触が離れていく。逃げるように反対側に寝返りを打とうとすると、その前に体の上に乗られ、動きが封じられる。
     さらりと絹のような何かが頬に当たって落ちていくような感触。おとがいに手をかけられてぐっと下に引かれる。

    「……起きな、眠り姫」
     甘い声で囁かれて、ゾクっと甘い痺れが背中を駆ける。ゆっくりと唇と唇が触れ合って、柔らかいものが口の中に潜り込んでくる。
    「………っ、んぅ……」
     歯列をなぞられ、口蓋を舌先でくすぐられる。唾液を送り込むように舌を弄ばれ、絡み合わされる。
     息苦しさに、ついに目を開いてしまった。
     綺麗な薄水色の瞳とかち合って、思わず喉を鳴らす。

    「ん、起きたね。……おはよ、主」
     真上から綺麗な顔に微笑まれて、ぶわりと顔に熱が集まる。
    「おつう、すごーい!」
    「ど?主、おれたちのこと見えてる?」
     横からもう一人の声が聞こえるけれど、私の上に乗っている男の髪で隠されて姿を確認することはできない。というか。

    「……だ、れ?あなたたち、は……」
    「……んん?」
    「……おっと」
     全く見覚えのない二人だった。
     私を組み敷いていた美しい銀の男が体をあげて、横に居た赤髪の男と顔を見合わせる。
    「ボクたちのこと、覚えてないの、主?」
     大きな体を折り曲げ、赤髪の彼が私の顔を覗き込んだ。甘く凛とした花の香りが鼻をくすぐる。どこかで嗅いだことがある……そんな気はするけれど、その凛々しい顔には見覚えが無かった。

    「わからない……。私、あなたたちのこと全く知らない」
     ゆるゆると首を振る。二人がショックを受けたように眉を下げる。
    「もしかして、主、本丸のことも?」
    「……ど?主、みんなで過ごした四年間、覚えてる?」
     四年間。もしかして、無くしてしまった記憶の……?
     心当たりはあるけれど、覚えていないものは覚えていない。もう一度首を振る。

    「……私、この四年の記憶が無いの。……もしかしたらあなたたちのことも、知っているのかもしれない。でも、覚えてないの。……ごめんなさい」
    「……ん…そっか」
     銀髪の彼がするりと頬を撫でる。その優しい手つきに、知らない人なのに、どうしてだろう。安心する。
    「……もしかして、霊力を失って審神者を辞めたから政府に記憶を消された?」
    「……かもね」
    「人身御供にもならないからって、無かったことにして何も言わずに本丸を追い出すの?……あり得ない」
     スッと気温が下がった感じがする。赤髪の彼の目が据わっていて、ゾッと怖気に襲われる。

    「ごっちん」
    「わかってる」
     銀髪の彼が赤髪の彼に呼びかけると、ふっと力を抜いたのか、凍っていた空気が元に戻る。





    *****以下設定とか*****
    ・(元)審神者
     時の政府にその霊力を見出され、四年間審神者をしていた。霊力(霊感)は小さい頃の方が強く、成長するに連れ徐々に少なくなっていた。審神者になったことでさらに減りが早くなり、四年と持たなかった。
     男士と恋人になることもなく、政府からの霊力供給の提案も拒み続けていたため、霊力切れにより審神者を退職。審神者や刀剣男士は機密情報のため、記憶封印処理を施されて一般へと返された。霊力がないから刀剣男士も含めた"それら"、霊的なモノ全部見ることができなくなった。
     本人は普通の病院、普通の職場だと思っているが、目覚めた病院は時の政府の息がかかった病院だし、今働いているところも時の政府の監視ができるようになっている。

    ・おつごち
     おつうは顕現時から、ごっちんも顕現時からそれぞれ主を好いていた(顕現した時期がバラバラ)だが、ごっちんの顕現をきっかけに二人で猛アタック。しかし、恋人を二人も持つような節操無しじゃ無いよとか、二人は信頼している刀だけど、恋愛感情はあんまり無いかな……とか色々と理由をつけて振られてしまう。
     半年前、審神者が何も言わずにいなくなった(霊力が無くなったことにより、政府に連れて行かれた。初期刀と初鍛刀のみ行き先を知っている)ため、引き継ぎ等でゴタゴタしている最中に抜け出して現世に主を探しにきた。(刀剣男士が元主に接触するのは禁じられているため、見つかったらしょっぴかれることだろう)
     主の霊力が無くなっているから少しだけ時間がかかったが、見つけ出して問答無用で霊力供給した。


    ⚪︎ボツ理由
     せっかくただの一般人に戻れた審神者を、(特にごっちんが)自分の恋心のためだけに、戦場に連れ戻すようなことするかな……?とわからなくなった。
     あと、恋人ならまだしも、恋人未満、何度も振られた片思いの女に、霊力供給のためにすけべするのかわからなくなった。霊力供給するなら、絶対、審神者辞める前に手ぇ出してるでしょ。
     極めたらまた違ったのかもしれない。
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