大典太光世とのお話主は強い人だと思った。俺などにお守りを渡し、臆することもない。また、周りからも慕われているし、怪我も恐れたりしない。そんな様子を見ていると俺は主が強い人なのだと思うようになった。
「あんた、俺を表に出してもいいのか?俺は封印されて、蔵にいるべき剣だぞ…」
主はすごく悩ましい顔をしていた。
「自由じゃ駄目かな」
「別にだめというわけではないが…」
「じゃあいい。大典太が望むなら蔵に置くけど、別にそれは大典太のしたいことじゃないんだよね?」
「大典太が何をしたいかで考えていいんだよ」
主の笑顔はとても優しさに満ちしていた。俺もそれがとても心地よかった。
(ああ、やっぱりあんたは俺なんかより強い人だ)
そう思えて仕方なかった。
「もう外は真っ暗だな、俺はそろそろ行くことにする」
その日は主の近侍で夜遅くまで側にいた。
「ああ、ありがとね、大典太」
主は笑ってこちらを見ている。俺は扉を開けさろうとしたとき、外から強い風が吹き付けた。その風を受けてか、蝋燭の火が消えてしまった。
「すまない、今つけ直すか…」
そう言って、主のそばの蝋燭に触れようとしたとき。
「怖い…」
主がそう呟いた。驚き俺は手を止め、主を見つめる。主は俯き震えていた。そして、俺の方を見て、
「暗い…怖い。大典太どこにも行かないで、僕の手を握って」
縋るように苦しそうな顔で懇願してきた。
「わかった」
普段見ない主の姿に混乱しつつも、俺は主の手をギュッと握りしめた。すると、震えが少し収まり、主は深呼吸をした。
「ごめんね、大典太。どうしても暗い場所で一人で居るのが怖くてさ…皆には秘密だよ」
情けないという顔をして主は顔を俯かせた。
「わかった」
「…ありがとう」
俺は主の弱い部分を始めてみた気がする。これまで何度も主の笑顔は見てきたが、誰かに助けを求めたり、何かを願う姿は初めて見た。俺は主の背中をそっとさすった。主の背中はオレが思っていたよりも小さくて、俺はそのとき気がついた。
(あんたは強いわけじゃない。でも、他の奴らを想いやれて優しくできて、そいつらのために強くあろうとしてるんだな)
「あんたは優しいな」
そう俺がポツリとつぶやくと主は、
「ハハ、そうかな…」
と照れくさそうに笑うのだった。