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    ようかい

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    雨だけになんかしっとりしました

    前提知識
    ・エリックという男は一回死んで死ぬ前にデュナミスで自身の再現体を作成してある男に取りつかせている
    ・アーテリスでは実体化できず、存在が知覚できないのでミニオンの魔導ビットを改造して(発音)それを操作することで意思疎通している
    ・イヴォカという少年は前世がガレマール市民で前世の記憶がある

    頓智気な自覚はあります!
    どうしてふぉろわ限定できないの!?

    通り雨エリック・セローは雨が苦手だった。
    自分の死因だからだろうか、それとも自分が一番想う人が雨を好きではないからだろうか、あるいはデュナミスの再現体となった自分が周囲の人間の想いを無意識のうちに感じているからだろうか。
    理由は全くの不明であったが、おそらくそのどれもが少しずつ作用してそうなっているんだろうと考えていた。

    苦手というほどでもない、と自分に言い聞かせていたし、彼は自分がおもうよりも精神的に老成してしまっているので(アーテリスで彼の表を見れるのは世界で一人だけだが)表に出していないだけであった。

    そんな雨の日、エリックとイヴォカが東部森林で雨宿りをしていた。

    しまわれないまま持ち主が居なくなってしまった小さな天幕の下に、突然降ってきた雨から避難して暇そうに雑談をしている。
    内容は本当に他愛のないもので、午前中に手を貸した人の依頼内容がひどかっただとかラストレムナントに新メニューが追加されただとかの本当に暇つぶしにしかならないような話だ。

    雨はいわゆる通り雨というやつのようで、雨の強さもそこまでではない。
    故に本当につまらない話でも、僅かな時間さえ潰せれば問題ないものだった。

    「あ~あ、ほんと早く止んでくれないかな~」
    「…僕、雨ってそんなに嫌いじゃないんだよね」
    「へぇ、それはまたどうして」

    雨の話も、エリック的にはただ同意を得られれば良いだけの話題だと振ったものだった
    予想外にも話が膨らみそうだったので、これでもうすこしだけ暇をしなくて済むだろう。

    「ガレマルドではさ…雨なんてめったに降らないし降っても濡れたら凍えて死んじゃうよ。」

    イヴォカは前世を懐かしむように遠い目をして僅かに口角を上げる。
    彼の視線の先にある、外の木の新芽が雨に打たれる様をエリックも一緒に眺めながら耳を傾けていた。

    「エオルゼアはあったかいからさぁ…。僕雨に打たれるのが楽しいって知らなかったな」
    「楽しいのはいいけどさ~?風邪は引くと思うな~」
    「う、いやそこは!家に帰ったら意外と僕のことを心配してる父さんがすっとんできてタオルでこうわしゃわしゃーっとされるから大丈夫!」

    父親譲りの癖なのだろう、口を猫のマズルのようにして得意げになる。

    その様子に若干呆れつつ、親の行動を換算に入れるあたりが子供らしいなとエリックは思う。
    それを指摘したところで何になるわけでもないし、そもそも彼は自分とは違って正真正銘の子供であるので何を言うわけでもないが。

    「…ま、好き好きは自由だよね。あんまり濡れて帰ると、その意外とボイ君のことが大好きなお父さんに怒られるよ」
    「わかってるよ!父さんったら手合わせでびちゃびちゃになってもすぐわしゃわしゃしてくるから!僕のせいじゃないのにさ!」

    ぷく、と頬を膨らませたところで先ほどの新芽を叩いていた音が止まる。
    無意識だろうが、獣耳がピクリと動いて視線をそちらに向けた。

    「あれ?止んだ?」

    エリックが天幕から顔を出して空を仰ぐ。

    空模様は僅かに雲の厚さが薄くなっている。
    雲の流れは速いのでそのうちまた厚い雲がここら一帯を覆うだろうが。

    「うん、止んだね。また降りそうではあるけど」
    「じゃあ降られる前に帰っちゃうかぁ」

    そう言ってたいして急ぐ気もなさそうにゆっくりと上に伸びると、水分を含んですこしだけ柔らかくなった土を一歩踏み出した。

    ___

    「おい!玄関マットから動くんじゃねーぞ!」

    ただいまという間も無いまま2階から叫び声が聞こえてくる。
    たったったと急ぐようにリメアが横切り、そのまま地下へ向かう。

    結局、あの後すぐにまた雨は振り出した。
    イヴォカが本当に急いで走っていたなら服が張り付くほどに濡れることはなかったはずだが、今彼がそうなっているということはそれをしなかったということに他ならない。

    どこか満足気に尻尾が揺れ、それに合わせて雨水が滴る。
    その様子が30秒も立たないうちに地下に降りたリメアが大きなタオルを持って階段を上がって来た。

    それを腕いっぱいに広げて、イヴォカをすっかり包み込んでもみくちゃにし始める。
    そのタオルはあまりにも大きいので、包まれたイヴォカはてるてる坊主のようになって大人しくしている。

    「ったく…。傘持ってねぇんなら居場所を教えるってことができないのか?」
    「雨が止んだタイミングで帰ろうとしたよ!そしたらもっかい降ってきたの!ちゃんと濡れないように努力はしたもん」
    「それでこんな濡れ鼠になるか」
    「なる」
    「はぁ…。風呂沸いてるから直行しろよ」
    「え!一番風呂!」

    イヴォカはそう大声を出すと、リメアの手からアウラサイズのタオルをひったくるように抜け出して、その勢いで階段の段差すら気にしない様子で地下に飛び込んでいった。
    風呂に入る必要のないエリックは、ミッション完了とでも言いたげに鼻を鳴らすリメアを一瞥して声をかける。

    「リメア君、まだ夕方だけど随分とお風呂沸すの早いね?」

    この家では、だいたい夕食を食べ終わった後に入るのが流れだ。
    風呂もそれに合わせて貯めることになるので、エリックの言う通り早いということになるだろう。

    「あ?息子と旦那が濡れて帰るってのが分かってて準備をしねー奴は居ないだろ」
    「…リメア君って気遣いの仕方がお母さんみたいだよね」
    「そりゃどーも。お前の羽も水滴まき散らしてるから動き止めろ」
    「は~い」

    自身が意思疎通のために操作している魔導ビットの電源を落とす。
    リメアの手の上に着陸したそれを眺めながらぼんやりと自分の事を思い出していた。

    そういえば、自分もボイ君みたいに雨が好きだった。
    雨に濡れて帰って、母親が慌ててタオルを差し出してくる様が子供心ながらに楽しかったな。
    ボイ君も言ってたように濡れた後の後始末は全部親がやってくれて何も考えなくてよかったから、僕も雨に濡れるのが好きだった気がする。
    あぁ、再現体である自分でも思い出す事ができるんだ。

    彼が雨の日が苦手な理由は、まさにこれであった。
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    ようかい

    TRAINING雨だけになんかしっとりしました

    前提知識
    ・エリックという男は一回死んで死ぬ前にデュナミスで自身の再現体を作成してある男に取りつかせている
    ・アーテリスでは実体化できず、存在が知覚できないのでミニオンの魔導ビットを改造して(発音)それを操作することで意思疎通している
    ・イヴォカという少年は前世がガレマール市民で前世の記憶がある

    頓智気な自覚はあります!
    どうしてふぉろわ限定できないの!?
    通り雨エリック・セローは雨が苦手だった。
    自分の死因だからだろうか、それとも自分が一番想う人が雨を好きではないからだろうか、あるいはデュナミスの再現体となった自分が周囲の人間の想いを無意識のうちに感じているからだろうか。
    理由は全くの不明であったが、おそらくそのどれもが少しずつ作用してそうなっているんだろうと考えていた。

    苦手というほどでもない、と自分に言い聞かせていたし、彼は自分がおもうよりも精神的に老成してしまっているので(アーテリスで彼の表を見れるのは世界で一人だけだが)表に出していないだけであった。

    そんな雨の日、エリックとイヴォカが東部森林で雨宿りをしていた。

    しまわれないまま持ち主が居なくなってしまった小さな天幕の下に、突然降ってきた雨から避難して暇そうに雑談をしている。
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