常闇を恋う【甘くないver.】
深夜、とある野営地。
火の始末をして、シルビアは寝床に潜り込んだ。仲間たちはすでに眠りに就き、辺りは静寂に包まれている。
時折、風に揺れる木々の音に紛れて、どこからか唸り声やら咆哮やらが聞こえてくる。昼とは比べものにならぬほど凶暴な魔物が闊歩する時間だが、声の主らがここに侵入してこないのは、魔を退ける女神像の加護のおかげだ。彼女に守られた中であれば、例え魔物の巣窟内だとしても安心して体を休めることができる。
旅慣れたシルビアは、どんなにおぞましい声が聞こえようと、人が襲われていない限りは気にせず眠れるほどに寝付きが良い。女神像の傍だとなおさら、寝床に入れば数分もしない内に眠りに落ちる。
6381