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    assamu

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    assamu

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    複座 スミイサ
    幻肢痛に悩むイサミと痛みを取り除いてやりたいスミス
    複座といいつつかなり穏やかな話(のつもり)

    ⚠二次創作でこんなこと言うのは野暮ですが、実際の幻肢痛のリハビリの方法とは異なります。あくまでこんな痛みの緩和方法もできるんじゃないかな~という思いつきのフィクションですので細かいところはつっこまないでほしい…。本当は鏡を使ったりVR使ったりするらしい。
    医療に関する話は特にフィクションとノンフィクションの区別を明確にしておくべき~と思いなんかごちゃごちゃ言ってますがとりあえず、
    フィクションをフィクションと楽しめるなんでも来い!な方だけ読んでください…‼

    前提として立てている設定
    戦いが長期化。
    左手首から先が欠損したイサミ
    幻肢痛に悩まされ、夜はほとんど眠ることができなくなる。
    ──────────────

    イサミは左腕の切断という大きな負傷をした後、治療のために戦前から一時的に離れていた。イサミの全身状態が回復しリハビリを始めて今日に至るまで、スミスとイサミの会話は数分程度の軽い近況報告のみ。スミスは復帰のためにブリーフィングに参加していたイサミをみて、久々に二人でゆっくりと話すことができるのでは無いかと声をかけるタイミングを伺っていた。解散の号令がかかりぞろぞろと人が去っていくなかで、長机の前で椅子に座ったままでいるイサミと立ち上がったままそれを見つめているスミス。立ち去る素振りを見せず部屋に残る二人の様子をみて気を遣われたのか、完全に人気が無くなり二人だけが室内に取り残された。

    スミスは座ったままのイサミに近づき無言で隣の椅子に腰かける。チラリとこちらを横目で確認したイサミの顔を真横から見つめ、はたと顔色の悪さに気付く。何から話そうか迷っていたはずの思考をよそにやり、顔を横から覗き込むと、イサミは少し面食らった顔で顎を引いた。
    「なんだ」
    「隈、できてる。眠れてないのか?」
    「全く眠れてない訳じゃない。気にすんな。もう傷も回復してきてるし、義手が使えるようになればじきに、復帰もできるだろ。そしたら、またお前と…」

    イサミの言葉が詰まる。
    一瞬眉を寄せて渋い顔をしながら包帯に包まれた左腕の断端をさすり、目元を微かにひくりとさせたイサミに、スミスは「もしかして傷口が痛むのか」と声を抑えながら問いかけた。
    二人だけなんだから別に声を抑える必要も無いだろうに、傷に響くとでも思っているのか、眉を下げて心配ですという表情で見つめてくる男の態度にイサミは痛む腕すらもどこかむず痒くなるなるような感覚を覚えた。
    イサミは眉を寄せたまま1度目を閉じ、しかめっ面になっている表情筋を緩めると目を開ける。その瞳は下を向いていて、視線が交わることはない。
    イサミはぽつり、ぽつりと溢すように話しはじめた。

    「いや、ないはずの、左手の指先が痛む…感覚がする。…幻肢痛だろうな。一度収まったが、再燃することもあると話には聞いてたし、痛み止めもある。復帰には問題ない。」
    「幻肢痛か。昔、隊にいた義手のやつから聞いたことがあるよ。夜は眠れないぐらい痛いってな。…まだ、今も痛い?」
    「まぁ。でもしばらく放っておけば収まる。」
    「しばらくって…」
    「10分程度で収まるときもあれば数時間続くときもある。夜は特に長いが今の時間なら数十分もすればよくなるだろ。」
    「痛み止めは?」
    「飲み過ぎると効かなくなるらしいから最近は夜だけにしてる」

    不規則に痛みの波がくるのか、奥歯を噛み締め耐えるような声で話すイサミ。
    お前が心配することじゃない、と突き放すような言葉で会話を終わらせようとして、「それより、何か話すことがあったんじゃないのか」と見つめてくる。

    幻肢痛は脳が錯覚を起こしているせいで起きる痛みだ。痛み止めだけじゃ鎮痛だって不十分なこともあると聞く。夜も眠れないほど痛むのはそのせいだろう。そういえば、昔のあいつは鏡を使うと─スミスは少し考える素振りをした後立ち上がった。

    「この後予定は?なければちょっと立ち上がって椅子に浅く座ってくれ。痛みをマシにできるかもしれない」
    「俺はこの後何もないが…おい…なにして、」
    「お前を傷つけることはしない」

    立ち上がって未だに痛みに耐えるような顔をしているイサミには悪いがSorryとだけ声をかけ、イサミの椅子を跨いで座る。
    イサミはここに座ってくれと声をかけるスミスに対し、こいつはいったい何をしようとしてるんだと思いながらも大人しく指示に従った。
    が、前の少しのスペースに座れというのだろうか。いくらなんでも窮屈すぎるだろう、心のなかで静かに突っ込んだ。仕方なくスミスに足を閉じるように言って自分がスミスの足を跨ぐようにして座るイサミ。

    「うん、さすがに椅子じゃ狭いか、悪いな。」などと言いながら連日続く敵の襲撃のせいで今朝の出撃からポッケに入れっぱなしだったのだろう手袋を取り出して左手だけに装着するスミスに、イサミはなんとなく、この男が何をしようとしているのかがわかり、冷静になった。

    大方、擬似的に両手を見せて脳を騙すつもりなんだろう。でかい鏡なんて持ってないからそれをこいつの手で代替するんだな。

    イサミはおとなしくスミスの膝の上に座ったが、なんとなく、座りが悪い。いや、そりゃそうだろう。人の膝の上なんて。この歳になって人の膝に座らされるとは思わなかった。いまだ脈のリズムと共に痛む左の指先に加え頭まで痛くなる。いや、頭痛は元からだったかも知れない。睡眠不足と痛みに冒されている頭では思考がうまく回っていないようだ。

    手袋を着け終えたスミスは、イサミを膝の上にのせながら、自分の左手をイサミの手首から先のない腕に沿わせる。自分の上着をちぐはぐな長さの2本の腕に被せ、境界がわからないようにして"イサミの左手"を見つめた。スミスはイサミの体が不安定にならないように右手をイサミの腹部に回し、上体をイサミの背中にぴったりとくっつける。

    イサミはスミスと触れあう背中からじんわりと温度が伝わるのを感じた。すぐ後ろから低く落ち着いた声が響く。手を見るために密着しているためか肩越しで少しくぐもっている。腹の深いところから豊かに響く声の振動がイサミの背中を通して耳まで届く。
    「イサミいま君は両手を開いている。ほら、右手を見て。ゆっくり開閉してくれ、そうだ。じゃあ次は左手を見て。親指、人差し指、中指、薬指、小指。ほら、全部揃ってるな?」
    指を1本ずつ開きながらゆっくりと確認するスミス。
    「ああ」
    「じゃあ、俺の掛け声と一緒に今度は親指からゆっくり閉じるぞ。親指、人差し指、中指、薬指、小指。閉じたな。
    そしたらもう一回指を開くぞ──」
    数回繰り返す。
    他人の手だが手袋のおかげかうまく錯覚が起きている。

    だんだんと表情が和らいできたイサミを見てスミスは会話を試みる。
    「…どうだ?少しはマシになったか?」
    「ああ、久々に…手のひらの感覚が戻ってきた。もう痛くない。…ありがとな。」
    「それはよかった。前にさっき話した義手のやつが幻肢痛の対処について教えてくれたんだが、効果はあったみたいだな。」
    「じゃあ、そいつにも礼を言わないとな。」
    「─そうだな。」
    軽快な言い回しで会話が進んでいったが、スミスが返事をしたのを最後に、おもむろにイサミは背後にある胸に背を預けた。疲れたようだ。頭を前に下げたまま少しずつ脱力していくイサミの身体を支えるために少し前のめりになって上体で背中を押してやる。
    「イサミ?」
    呼び掛けで身体が起こされることもなくイサミの身体からはどんどん力が抜けていく。
    「あんたの体温、高くて落ち着くな。」
    イサミは普段のはっきりとした受け答えからは想像も着かないほどふにゃふにゃとした溶けた発声で独り言のように呟く。
    「……悪い、この後、予定なかったか…?…ちょっと、ねむくて…このままで、」
    ダメなら椅子に避けてくれ、といったようなことをごにょごにょといっていたみたいだが、完全に脱力し、机に両腕を放ったまま寝落ちしてしまった。痛みが解消されたことで穏やかに眠れているようだ。できればこのまま、1日敵が待ってくれれば良い。連日続いていた戦闘からそんなことは無理だとわかっていながらも、この穏やかな時間が続いて欲しいと願わずにはいられなかった。
    とっくに深い眠りに移行してしまったらしいイサミは少しの揺れでも起きなさそうだ。上着から腕を引き抜くために動いたがそのまま規則正しいリズムで聞こえてくる寝息に、スミスは多少なら動いても構わないだろうと判断した。イサミが落ちないよう安定させてやるかと、両腕でイサミの身体を抱え、大きなテディベアに抱きつくような体制になる。
    手持ち無沙汰で邪魔も入らない。なんて、穏やかな時間なんだろうか。触れあった部分から互いの体温が混じってなんだか眠くなる。1時間ぐらいなら寝ても許されるだろう。
    背中にぴったりと着けた右耳から聞こえる、力強く、規則的な拍動をBGMにしながら、この後に喧しいサイレンで起こされる嫌な想像をかきけして瞼を降ろした。










    以下蛇足(長い)
    複座のイサミは一人にならないと痛そうな顔をしなさそうだなと思いながら書いていた。ボクシング回のような心の衝突を経ていないので耐えて一人で抱え込もうとするのかな~と。なので全く眠れていない訳じゃないといったのも本当はほとんど嘘だし、しばらくすれば治るもごまかし。
    幻肢痛の痛みについて調べていたらかなり痛々しいものが多く、ピリピリするとかズキズキするとかももちろんあったけれど手を潰されている痛みや引きちぎられる痛み、えぐられるなどまあまあ耐えがたい苦痛だなと思いこんなん耐えられなくない?と痛みを緩和するスミスの話を書きたくなった。
    対症療法だからその後ぱったり幻肢痛がなおる、とかはないと思うけど辛すぎて弱ったとき、スミスを頼るきっかけになれば良いな…と思いまして…。
    ちなみに"義手のやつ"はもう隊にいなくて、殉職しているという密かな設定があった。最後スミスは少しだけ含ませるような声で返事をしてしまったけれど、イサミが寝たのでほっとしてる。義手のやつが死んだことをイサミと少しだけ重ねてイサミに死なないでほしいと思っているスミス。片腕無いと色々パフォーマンスも落ちるし、疲弊しやすいから眠れてなさそうなイサミがちょっぴり心配。人の死に対してどこかで折り合いはつけて心を壊さないようにしてきたけど、イサミだけは死んだら正気でいられるか…と少し不安になっているナイーブなマリーン。お互い弱みを見せているようでちゃんと見せていない段階のスミイサでした。





    さらに蛇足の倫欠気味話
    欠損について



    このネタ、君の手となり足となる。を体現できるからとても好き。お互いの手足を補えあえる形で欠損するスミイサ、二人でひとつの椅子に座って相手の手、相手の足を愛おしむように撫でる。スミスはイサミの右足を撫で、イサミはスミスの左腕を撫でる。自分の手や足はなくなったけど自分のなくなったパーツがある場所として、相棒の身体を自分の身体のような錯覚をおこしながら触る。(文がくどい)
    イサミはこうして自分の手となって痛みを取り除いてくれたスミスが右足の幻肢痛に悩まされているときには、夜、スミスと一緒に眠る。
    (この辺の軍隊の規則よくわかってない。消灯時間とかいろいろあるんだよな?多分。
    一緒の部屋でもいいな。二段ベッドで)

    スミスと一緒のベッドに座ってイサミが前での二人羽織みたいになる。右足をくっつけて身体をぴったりと着けて、タオルケットを被せる。
    ほら、おまえの足だって言いながらイサミが自分の右足を擦ったらスミスが、ああ、感じるよ。右足の感覚がある。って感慨深そうにイサミの右足の膝を撫でる。お互いの身体で感覚を補い合う時間を作ってるのがみたい。


    長々とした妄想のネタ書き出しの延長みたいな文を読んでいただきありがとうございました!
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