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    ruruyuduru

    @ruruyuduru

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    ruruyuduru

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    エンエイ。お互いに「ギャップがあるなあ」と思ってるエンテンとエイトさんの話。
    最近すっかり文章が書けなくなっているのでリハビリ中。読みづらくても許されたい。

    ##エンエイ

    砂漠の夜夜の砂漠はとにかく冷える。素肌を焦がすような昼間の熱さが嘘みたいに。
    その極端な二面性は、太陽の都の首長、もといエンテンの在り方によく似ているとエイトは思う。
    普段はみずからに課した使命──この地に暮らす民を守るべく、政務はもちろん、商談や兵の鍛錬までその身ひとつで懸命にこなしている。エンテンにはエンテンの考え、そして理想がある。だからこそ彼のやり方にあれこれと口を挟んだり、表立って反対したりするエイトは、突き放した態度を取られがちだった。
    しかし仕事を終えて役目から解き放たれると、エンテンはエイトを傍に置きたがる。一緒に過ごす時間を望むのはもちろん、言葉通り手指が触れる距離にいてほしいとねだるのだ。
    もっとも正直なのは眼差しばかりで、形のいい唇が紡ぐ言葉には素直さの欠片もないのだが。
    今日もまたエンテンは、日が暮れた頃に宿に戻ろうとするエイトを引き止めた。豪勢な食事と上質な酒を口実にして。
    広い食卓に次々と運ばれてくる太陽の都の郷土料理を、それから不安げに揺れるオッドアイを交互に見やると、エイトは深い溜息をついた。
    初対面の印象こそ最悪だったのに、今ではこの年下の青年にだいぶ絆されている自覚がある。親子ほど、あるいはそれ以上に年の離れた王国の重鎮たちと対等に渡り合う一方で、ちょっとしたことでムキになる幼さも併せ持っている。
    そのギャップに、自分の前でだけ見せる素の表情に弱いという事実を、エイトはまだ認めきれずにいる。そしてエンテンもまた、自身の言動がエイトの胸をときめかせているとは露知らず、今日もまた拗ねた子供のような顔をして、無意識下でエイトの庇護欲めいた感情を刺激している。

    ──せっかく手間暇かけて準備してくれたのに残しちゃ悪いよな。

    エンテンの屋敷の使用人たちを気遣うかたちで、最終的にエイトは折れた。
    そしてスパイスの効いた料理の数々に堪能して、酒の入ったグラスを三回ほど空にする。その頃には、宿に帰るという発想は完全に頭から抜け落ちていた。
    そもそも誰かに言伝を頼むまでもなく、エンテンがエイトの滞在を引き延ばしたときにはすでに、宿の主人との間で話はついていたのだが。
    十分すぎるほどに腹が膨れて、いい感じに酔いの回ったエイトは、やがてソファで寝息を立て始めた。
    その表情に、警戒心や緊張感といったものは欠片も見当たらない。エンテンの中で、小動物が必死になって威嚇しているようだと思った記憶がよみがえる。かつてエイトに敵意を剥き出しにされたときには、怒りばかりが込み上げた。しかし最近はどんな心境の変化があったのか、戸惑いながらも歩み寄りを見せてくれている。
    もしまたあんな目を──軽蔑と憎悪に満ちた眼差しを向けられたら、私はどうなってしまうのだろう。グラスに残る酒を舐めながらエイトを眺めていたエンテンに、使用人のひとりが近付いた。
    「エイト様をお部屋にお連れしましょうか?」
    「いや、いい。もう準備は整っているな」
    念のため確認を取れば、使用人は当然と言わんばかりの表情で頷いた。よろしいと返して彼らに食卓の片付けを命じると、エンテンは呑気に眠るエイトの傍に歩み寄る。そしてソファの足元に屈み込むと、エイトの身体を横抱きにした。口の端から涎を垂らす間抜け面を、身体に隠すようにして。


    夜の砂漠はとにかく冷える。素肌を焦がすような昼間の熱さが嘘みたいに。
    風通しの良い造りの建物を進む途中で、エンテンの腕の中のエイトが身震いする。そして目を閉じたまま、エンテンの胸元に頬をすり寄せた。
    その行動に、エンテンは足を止める。さらには、呼吸さえも忘れていた。前に向けていた視線をおもむろに腕の中に落としたが、そこには能天気な寝顔があるばかりだ。
    エイトは何も知らない。エンテンにもたらされた動揺も、その鼓動が痛いぐらいに高鳴っていることも。触れ合った部分から伝わっていても不思議ではないだろうに、エイトの瞼は下ろされていて、目を覚ます気配はまったくない。
    エンテンは深い溜息をついた。あくまでエイトは暖を求めているだけで、この行動には何の意味もないのだと、努めて冷静に言い聞かせる。
    安堵しているのか、落胆しているのかもわからなかった。温もりを決して手放すまいとするかのように服を握り込む仕種に、早く部屋に送り届けなければと、ただそれだけを考える。


    そしてエイトに宛がわれた一室の扉を開けるべく、再び足を止めたときだった。予想もしていなかった声が、言葉が、唐突に耳に飛び込んでくる。
    「一緒に寝てくれるんだよな、エンテン」
    寝言にしてはハッキリした声で念を押された。名前まで呼ばれてしまったら、他の誰かと間違えているのだろうと疑うこともできはしない。
    「……君がどうしてもと言うのなら、応じてやらないこともない」
    「じゃあ、どうしても」
    冗談交じりの言葉を、無邪気な声で繰り返される。彼は今、いったいどんな顔をしているのか。昼と夜とで表情を変える男の表情を、その本心を確かめるべく、いつになく性急な手付きで部屋の扉を開け放つ。








    2022.08.05
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