『祝福』「誕生日おめでとう、ルカ」
11月20日。冬の訪れを感じる肌寒い夜のこの日は、俺の恋人ルカの誕生日だった。
ルカのために用意していた豪勢な食事と高価な酒でふたりきりのディナーを楽しみ、落ち着いてきたところで改めて祝福の言葉を贈る。
「ありがとうございます」
そう言って微笑むルカの傍らには、数え切れないほどの箱や袋が置かれていた。それは俺が贈ったものではなく、全て仕事仲間やルカを慕う者たちから贈られたものである。端麗な容姿と優美で柔らかな物腰、そして確かな実力で高い地位を得たこの男に憧れる者は数知れず、羨むどころかいっそ引いてしまうほどの人気者だ。
「そうだ、ゼノさん。お願いしていたもの、ご用意していただけました?」
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