SONAR[ SOund NAvigation and Ranging / 音響航法・測距 / ソナー ]
夕暮れ時は仕事を切り上げる合図だ。慌てて最後のお客さんに荷物を渡してため息をついた時には、もうだいぶ日も傾いて辺りはすっかりオレンジ色に染まっていた。石畳には長い長い影がのびて、向こうから歩いてくる人影も薄暗くて分かりにくい。
「……あれ、ユウだ」
「シャオ!」
私が気づくより早くシャオに話しかけられた。ひらひらと手を振って「今日は初めて会うね」とシャオは笑う。
「ユウはお仕事もう終わった?」
「うん、これから帰る所だよ」
「そっか……あ、ちょっと待って!」
少し遠くに何かを見つけたらしいシャオが慌てて駆け出し、またすぐ戻ってきた。
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