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    T8D89

    @T8D89

    書き途中のモチベ上げだったり、熱を発散させる場です

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    T8D89

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    副官長官のスケベが書きたかったんですがモチベ維持のために作業進捗としてあげます。
    この長官は自分優位の誘い受けですね

    酔狂(仮) 激しい爆撃音に土煙。高らかに奏でられる軍歌に負けじと戦車隊が次々に砲弾を撃ち込む。
     クジラ型戦艦から悠々と大統領官邸を見下ろし、その幕引きを見届けようと男は努めて冷静に司令室の大画面に映るその惨劇を眺めていた。艦橋における部下達の誰も彼もが静かに、その終焉を見守っている。
    「……惜しいな」
    「へ」
     つい口から出た小さな呟きが隣で立つ巨体の部下には届いたようだ。チラリとこちらを伺う視線を感じたがドラコルルは気にもせず爆撃と火の手が上がる大統領官邸をただじっと見つめていた。先の言葉に含まれた意味を理解したのだろう。副官は腑に落ちたように画面の方へとむき直した。今は共にギルモアが作り上げた諜報機関にその身を置くが二人は軍人として上司部下の関係が長くなれば成る程多くを語らず伝わる点が増えた。
     しかし、コレに関しては副官も同じ気持ちを抱いたのかも知れないが。
     惜しい、という言葉は出来ることならこの惨劇の最前線においてこの身に熱風を受け、硝煙の匂いに包まれていたかった──そんな危険に身を晒したいなんて酔狂な者は軍に長く属した弊害なのか、それとも根っからの酔狂なのか──それはドラコルルにもわからない。だが、そんなことが叶わないのは長官という肩書きを持つ本人が一番よく知っている。

     突如として奇襲を受け崩壊する大統領官邸から爆発と共にあちこちから火が回る。当然ながら火をとめるだけの余裕もなく、あちこちの窓が爆風と共に砕け散っていく。
    中の様相など想像に難くない。乗り込んだ歩兵達と大統領付の護衛が銃撃戦を交わそうが圧倒的な武力差にどうすることも出来ないだろう。

    「あっけないものだな…しかし、これで有事の際の武力についてその身を持って重要性を体感することが出来たでしょう?大統領閣下」
     男は、落日を今まさに迎えようとしてる政権を目の当たりにし小さくそれでいて冷たく呟く。
     
    澄み渡る青空のように、大きな瞳を輝かせ眩い理想論を掲げ国民の心を手中に収めた少年大統領。しかし同時に軍部に根深い反乱の火を自ら灯した罪深い少年の姿を思い浮かべ、すぐに消し去った。とは言え、このクーデターを企てたギルモア将軍の、大統領官邸を包囲し徹底的に砲撃せよとの命を忠実にこなす陸軍のやり方はなんともあの将軍らしい数と力で押し切るだけで何とも芸も無いものだが、見ていてその圧倒的な火力も馬鹿には出来ないものだ。
    だが──。

    「艦に燃料の補給及び、糧食を運び込んでおけ」

     よく通る声が響く。虚をつかれたように部下の何人かが振り返る。特に反応するでもなくドラコルルは爆撃が響く大画面から背を向け司令官室を後にする。

     他の部下と同じように虚を突かれポカンと口を開けいた副官だったが、すぐに慌てた様子で上司の後を追いかけていく。

     取り残された部下達は、常日頃の訓練の賜か一人として動揺するでもなくドラコルルの命に従うべくそれぞれが本部の担当部署に連絡を取り合い、連絡を受けた操舵手がさらに上空へと艦の頭部を持ち上げ戦艦は未だ地上で繰り広げられているさながら戦場から離れた。

    「ちょ、長官!いいんですか!?」
     ゴウンゴウンと重低音を響かせる船内の廊下の先に見つけた背中を追いかける足音がドラコルルを捉える。最期まで見届けなくて、と言いたいのだろう副官を制するように冷酷な笑みを浮かべ振り返る。
    「清廉潔白な大統領は最期までその場に留まりたいだろうが、それをあのゲンブと補佐官が許すとは思えん──陸軍のみでは無理だ。我々の出撃命令がギルモア将軍から降されるのも時間の問題だろう」


     ドラコルルの読み通り、緊急用のロケットが官邸から打ち上げられたとの報がドラコルルのもとに届いた。

    ◇◆◇

     逃れた大統領を追う為、超空間の波動を辿り宇宙へと出たわけであるが久しく戦場を身近に感じることがドラコルルを軍人として昂ぶらせるには充分だった。
     この身の燻りをどうにも発散させたくて、艦内にある私室へと副官を引きずり込みあれよあれよという間に仮眠用のベッドに押し倒され、ベッドのスプリングがギシリと悲鳴を上げた。
     力であれば純粋に副官の方が強いのだが、あまりにも急に起きた出来事に脳が現状把握するための処理を放棄していた。とはいえ、上官にあたるドラコルルを腕力で引きずり落とす気など毛頭無く自身の巨体に乗り上げてくるドラコルルに目を丸くし、顔が赤くなったり青くしたりと目まぐるしく変わる様にドラコルルの口角が自然と釣り上がった。
     普段はきっちりと着込まれ隙など存在しないのだが、自らはだけさせより一層顔を近づけさせるドラコルルに、副官の心臓は破裂しそうだ。
    「ちょ、長官…っ」
    「何だ?」
    「ぇ、あ、いやっ、あのっ、ど、どどどうしたんですか 今日は、なんか、そのッそのッ…」
    「ふむ……嫌かね?そうか…」
     首を傾げドラコルルは上体を起こす。言外にそれなら別の者に声を掛けようかと思案する風を装う。事実、本当に副官が乗り気でないのなら部下の中から一人見繕うこともドラコルルにとっては簡単だった。しかし、この男がそんなことを許さないこともドラコルルが一番理解していた。
    「ま、待ってくださいっ!!」
     たったそれだけで副官の焦りが混じったひっくり返るような声が下から悲鳴のように上がる。それまで腰にさり気なく添えられていた副官の手が縋り付くように遠慮がちに力が込められ、そのことに一層笑みを深ませた。


    「なに、少しばかり昂ぶっただけさ……副官、君にもわかるだろう?」


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