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    shiruoshiru

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    shiruoshiru

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    ドラゴンズドグマのエンディングに関するネタバレがあります。ご注意くださいませ。
    弊覚ポの原点。
    この時スヴェル君に芽生えた意思の影響で、2周目以降のスヴェル君のおめめがオッドアイになっていたりします(笑)

    彼女の祝い。彼の呪い。 忘れられない光景がある。
     無限の空間。無音の世界。
     茫漠たるその世界の深淵。界王の世界で、今代の界王となったマスターの歪んだ笑顔。一筋だけこぼれた涙。
    「私のことなんか忘れて。幸せになってね」
     そう言い、マスターはご自身の心臓に神剣を突き刺した。
     初めて見た彼女の涙に戸惑っていた自分は、それを止められなかった。
     マスターの身体が、糸の切れた人形の様に崩折れる。その小さな体を抱き止めたくても、まるで根が生えたかのように自分の足は動かない。
     現実が受け止められず、呆然としながらよろよろとマスターの側で膝をつく。
     生命を無くした彼女は、笑みを湛えていた。
     どうして。
     その言葉を皮切りに、思考の濁流が脳内を襲った。
     どうして彼女は笑っているのだろう。どうして彼女は涙を流したのだろう。どうして彼女はあんな歪な笑みを浮かべたのだろう。どうして彼女は自らの生命を終わらせたのだろう。
     分からない。人だった彼女の心が、ポーンである自分には分からない。
     増え続ける疑問符に脳が内側から圧迫される。心臓が脈打つ度、こめかみが痛くなる。強い不安と焦燥感。背筋が総毛立って、胸の内側が締め付けられる感覚に陥った。
     唐突な浮遊。界王の世界に空いた穴に、マスターと自分は落とされたのだ。離れていく。マスターの身体が、自分から離れて下へ下へと落ちていく。
     手をのばす。いかないで。離れていかないで。私をおいていかないで。
     「マスター!!」
     喉の奥から出た叫び。空をかき続ける手。それでも彼女だけを視界に写して、届け届けと体全体で彼女へ手をのばす。
     そうして強い衝撃に気を失って、次に目覚めるとマスターを写した身体になっていた。ポーンの証は無い。魂の転移。かつて覚者であったソフィアと、そのポーン、セレナの結末を思い出す。マスターが居なくなって、まるでその代わりになるように、私は人間になったのだ。
     「私のことなんか忘れて。幸せになってね」
     マスターの最期の言葉が脳裏に蘇る。
     忘れない。貴女との記憶を、絶対に私は忘れない。忘れてなるものか。
     それが私に初めて芽生えた意思だった。
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