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    凜太(りんた)

    @Rintango99

    文字書きです。七マリ書いてます。
    桜井兄弟近辺(主にコウちゃん)のとても短い話を上げ始めました。
    よろしくお願いします。

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    POIPOI 13

    凜太(りんた)

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    人を好きになる経緯、色々。
    これはそのひとつの形。
    バ〇オとかのマップに落ちてる日記や手記、メモとかそれ系な感じのもの。それを拾って読んでいく感覚でお楽しみ頂ければ。七氏の心情の変化を感じてみてください。

    出会った頃の七氏の冷たさ、嫌いじゃないぜ。
    卒業前、普通から友好あたりまで。
    最後の「???」はオマケのエクストラステージ(?)
    七ツ森氏視点、マリィさんは元気いっぱい名無し子さん。

    移ろいと確信。SCENE1

    「な、な、つ、も、り、くーん!!」
     どこからともなく自分を呼ぶ声がする。それも、遠くから。
     マジで勘弁して……。
    「な、な、つ……あ!おーい!」
     校舎を見上げると、窓の一つから手を振る人物が目に入る。
     俺が見上げていると、彼女は笑顔で大きく手を振っている。
     トテモゲンキデスネ……。目立つようなコトをしないでもらいたいんですが?
     俺は手を振り返さずに、無視するコトにした。


    SCENE2

    「七ツ森くん!今日もかっこいいね」
    「……それはドーモ」
    「そういえば、昨日ね、七ツ森くんがはばチャで……」
    「待て」
    「え?……あっ」
     彼女は慌てて自分の口を押さえる。
     時々ポロッと出てくるから困る。バレたらどうすんだ。ホント、マジで勘弁して。最近、俺をNanaって呼ばなくなったと思ったら今度はこうだよ、勘弁してくれ……。
    「ええと……Nanaくんがはばチャで着てたトップスのレディースものが予約できたの」
     すまなそうな表情をしながら呆れる俺の顔を見上げ、話を続ける彼女。
    「へぇ、よかったな」
     早めに話を切り上げたくて適当な相槌を打つ。すると、彼女はそれはそれは嬉しそうな笑顔を浮かべた。
     反応がとにかく素直すぎる。人の言葉の裏にあるものとか、気にしたコトないんじゃないか?このコ。
    「うん!ありがとう。ふふっ、着るの楽しみだな」
    「そ」
    「きっといいと思うんだ。すごくかっこいいのに可愛いだもん」
     彼女は一人で楽しそうに話して、「それだけなの。それじゃあね」と手を振って去っていく。
     そして、俺の周りは静かになる。まるで台風か竜巻だな、アレ。


    SCENE3

    「七ツ森くん!」
     少し離れたところから声が聞こえる。もう誰の声かわかるようになった。
     相変わらず声はデカいし、目立ってるし……何でそんなに声かけてくんの。Nanaバレしたのがうらめしい。
     声の主が近づいてくる。
    「七ツ森くん!よかった!今日は移動教室とかあって、七ツ森くんの教室行けなかったから」
    「……何?」
     ニコニコ笑う彼女の顔を見下ろす。
    「ええと……あのね、じゃーん」
     彼女が背中に回していた手を俺に見せる。その手には、今季限定のチョコ。それも、今やどこにも売っていない、超バズっているマボロシのヤツ。
    「売ってたのか」
     目を見開かざるを得ない状況、彼女は嬉しそうに微笑んでいる。
    「うん!七ツ森くんにあげようと思って」
    「なんで」
    「え?だって……」
     彼女が少し俯いた。初めて見る表情だったけど、それもすぐに笑顔になる。
    「七ツ森くんと話したでしょう?きっとどこも売ってないなって」
     話した記憶がない。それが表情に出てたのか、それとも、俺が黙り込んだからなのか、彼女が付け加える。
    「二週間前くらい、放課後」
     そうだ。ほんの数十秒の間の会話。
    「……ああ」
    「ふふ、はい!どうぞ!」
     彼女が俺の手にチョコの箱を握らせる。
    「じゃあまたね」と言って彼女が去っていく。
     その背中を見送る。手に残ったチョコの箱は未開封のままだった。
     あのコ、食べてないのか?それとも、二つ買った一つを俺に?


    SCENE4

     初めてデートに誘われた、あのコに。
     正直面倒だったけど、カラオケだから話さなくてもよさそうだし、一、二時間歌って帰ればイイと思って行くコトにした。へそ曲げられてモデルのコト、バラされるのもメンドーだし。
     待ち合わせ場所に行って、俺に気づくと彼女は笑顔で手を振る。
    「言ってたの、着てきたのか」
    「うん」
     彼女は以前話していたNanaのトップスを着ていた。嬉しそうに話すと思っていた彼女は、それに一切触れずにいたから聞いたんだけど。
    「イイ。ボトムと合ってる、カワイイよ」
     俺の言葉を聞いて彼女の目が大きくて開かれた。そして、ふうと息を吐いて柔らかく微笑んだ。
     どうやらキンチョーしてたらしい。……ま、モデルにファッションチェックされるみたいなもんだもんな、ムリもないか。
     その後は、普通にカラオケに行って歌って帰るだけだったけど、帰り際、チョコのコトを思い出して聞いてみた。もう礼は言ってたけど、何となく思い出したから。
    「ええとね……、食べてないの」
    「は?」
    「一つしか買えなくて。封開いてるの、あげるのもなって思って。おいしかったんだよね、よかった」
     彼女は、ふふっと嬉しそうに笑む。
     ……なんだ、このコ。
     そんなに、Nanaに媚び売りたいワケ?
    「……そういえば、何も考えないで普段の格好できたけど、どっちがいいの?」
    「え?」
     どうせ、Nanaがイイに決まってる。こんな冴えない男子とデートなんてイヤだろ。
     彼女は首を傾げて少し考えてから口を開いた。
    「普段通りかな」
    「……OK」
     驚いた。Nanaがいいと言うと思った。その後念を押してもいいよと微笑むだけだった。
     ん?……こんなに優しく笑うコだったか?


    SCENE5 

    「七ツ森くん!おはよう!」
     相変わらず、声がデカくて元気ですね。
    「……オハヨ」
     寝不足でまだ眠い俺には、彼女の太陽並みの明るい元気さはしんどい。
    「ふふっ、眠そうだね。昨日、遅くまで起きてたの?」
    「まぁ」
    「ふふっ、そんな七ツ森くんに、いいものがあります。……ハイ!」
     彼女がカバンから何か出す。
     見ると夏季限定のグミだった。
    「これ食べて、目覚ましてね」
    「……コレ、あんたの分あんの?」
    「え……」
     彼女が視線を逸して、へへと笑う。
     どんだけヒトがいいんだ、このコ。
     俺もカバンに手を入れて、掴んだそれを見せる。
    「あ!同じの……ん?」
    「あんたが同じの持ってるなら、コッチやるよ」
     彼女が俺が手に持つもう一つの夏季限定のクッキーを見やる。
     それを彼女に差し出すと、彼女は俺の顔とそれを見比べて、戸惑いの表情を浮かべた。
    「え、でも……」
    「いつかの、お礼」
    「???……七ツ森くんは食べたの?」
    「いや。でも、イイよ」
    「そっか」
    「いらない?」
    「ううんっ!ありがとう!」
     彼女が弾けるような笑顔を浮かべる。
    「どーいたしまして」
    「あ……あのね、七ツ森くんが嫌じゃなかったら、……後で一緒に食べない?」
     控えめに彼女が言う。珍しい。
    「お菓子?」
    「うん……ええと、ランチの時とか……」
    「……」
    「……あ、ムリにじゃないの、よかったら……」
    「イイよ、昼メシ」
    「……そっか………えっ!いっ、いいの!?えっ、ご飯も?」
     大きな目を開いて驚く彼女の表情が少しおかしくてつい笑いを漏らしてしまう。このコの声のデカさは気になるけど、急に慌てる姿は少しカワイイ。
    「別に、イイよ」
    「……ありがとう」
     目じりを下げて笑う彼女は「それじゃあ、お昼休みに七ツ森くんの教室行くね」とひらっと手を振って去っていく。
     ま、別にランチくらい一緒に食べてもイイし。


    SCENE6

     花火大会。
     一人で行って写真だけでも撮ってこようと思っていたけど、あのコに誘われた。
     はばたき市の花火大会は初めてだったし、俺はこういうのはキライじゃない。写真も撮ろうと思ってたし、ちょうどイイから誘いに乗るコトにした。
     せっかくだからと、浴衣を着て待ち合わせ場所に向かう。
     少し早めについて、彼女が来るのを待つ。
     時間を少し過ぎて、浴衣姿の彼女が走ってくるのが見えた。
     下駄を履いているし、浴衣だから足さばきも悪いんだろう、その速度はそんなに早くはない。
    「ごめんね、待ったよね」
    「走ってきた人はセーフ」
    「ふふ、ありがとう」
     走ってきた彼女は額にうっすら汗をかいていた。アップにした髪型はいつもと違って彼女を見せている。おくれ毛が首筋に張り付いていた。
    「……」
     ついじっと見ていたら、俺を見上げているコトに気づくと彼女は照れくさそうにはにかんだ。
    「……ッ」
    「???」
    「すごくイイ、似合ってる」
     思ったコトを告げると嬉しそうに笑んで俺を見上げる。
     流石に色っぽいとは言えなかった。
     別にそういう目で見てたつもりはない、決して。
     ……男としては浴衣モエには敵わないから仕方がないだろ。


    SCENE7

    「七ツ森くん!」
     はぁ……もう少し静かに来れないの。
    「何?」
     彼女が自分の口を囲うように口元に手をやる。何か秘密の話なんだろうと察する。少し身を屈めてみる。
    「……はばチャのNanaくん、すごくかっこよかったね」
     耳元の彼女の声は弾んで聞こえる。嬉しそうだ。
    「ま、そうだな」
    「うん!」
    「そういえば、あんた、欲しがってたリップ、手に入ったの?」
    「……ううん、残念ながら」
    「ネットでもムリだったか」
    「うん……」
     とても残念そうに眉尻を下げる彼女は、叱られたわんこみたいだった。それが少しツボに入って笑いそうになるのを咳払いで誤魔化す。悲しんでる彼女に対してちょっと可愛くも感じても、笑うのは失礼だよな、流石に。
    「あんたが欲しがってた色じゃないけど、色違いリップ、持ってるよ」
    「そうなの?使った?」
    「いや」
    「そっか。まだ使ってないんだ」
    「……」
     興味津々な様子の彼女は、俺が色つきのリップを使うコトをごく平然と受け入れている。
     それが少し居心地がよくも感じるようになった。
    「つけてみる?」
    「え?いいの?まだ使ってないんでしょ?」
    「イイよ。明日の放課後でOK?」
     俺の言葉に、彼女の顔はこれでもかっていうほど明るくなる。効果音をつけるなら「ぱああああ」だろうな。
     可愛くてつい口元が綻ぶ。
     翌日の放課後、彼女を俺の部屋に招き入れた。
     考えたら初めて女子を部屋に入れる。
     何も考えていなかった。
     コレって、彼女にヘンに思われないか?
     でも、そんな心配もいらなかったくらいに、彼女は全く何も気にした様子も見せない。少しだけそわそわとしていたけど、「お友だちの部屋に来るって、ちょっと緊張するよね」と言っていたから本当に何にも思っていないみたいだし。
     それなら、俺もそんなに気にしない方がイイな。
     件のリップスティックを取り出して、鏡を用意する。
     彼女は興味深そうに俺のメイク道具を見ていた。
    「七ツ森くん、すごいたくさん持ってるんだね」
    「そうかもな」
     何かツッコまれるかもしれないと少し身構える。けど、彼女は俺が持っているというコトよりも、その持ち物の方が気になるようだった。
    「……見る?」
     俺の問いかけに、彼女は嬉しそうに口元を綻ばせて頷いた。
    「すごい!これ限定の?」とか「これ気になっていたの」とか、結構詳しくてホントに色々リサーチしているのが伝わってくる。俺も少し楽しくなってきて話が弾む。コスメの話を正面切ってするコトは、モデルの仕事の関係者以外ほとんどないからなのかもしれない。
     彼女は俺が女装しているコトなんて知らないのに、男子にしてはあり過ぎるコスメの量とか全く気にしている風でもなかった。
    「……シアータイプのリップ。あんたの唇、元々キレイだし、すげぇイイ。マジでカワイイ」
    「え、あ、………うん」
     話し込んで、色んなコスメの色味を試して、ようやく最初の目的のリップを唇に塗った彼女。
     俺の言葉に頬を染めるというより、顔面が真っ赤になった彼女はとても可愛かった。
     ほんのり色づいた彼女の唇に目が釘付けになる。
    「……そんなに見られたら、恥ずかしいよ……」
     その言葉にハッとした。
     ドキンと胸が高鳴る。
     なんだ、コレ……。


    SCENE???

     昼休みとか気がつけば、彼女がどこにいるのか探すようになっていたし、見つけたら見つけたで目で追うようになっていた。
     これがどういうコトなのか、分からないほど鈍感ではない。
    「七ツ森くん」
     彼女が俺に気づいて声をかけてくる。ニコニコと笑うその笑顔、カワイイが過ぎる。
    「……何」
    「あのね、ドクロくまの期間限定ショップ、興味ない?」
    「ある、行こうぜ」
     誘われる前に誘ってみると、目を見張った同時ににっこり笑顔で頷く彼女。……うん、非常にイイ笑顔、カワイイ。
    「うん!いつにする?」
    「今日でもイイけど、それじゃ時間が足りなそうだし、今度の祝日は?」
    「明後日だね、いいよ!」
     ほんわりと笑う彼女が可愛すぎて、つい触りたくなって手が伸びる。
     触れた頬は柔らかくてそのまま包み込みたくなったところで、ようやく我に返り慌てて手を引っ込める。彼女は少し照れくさそうにするだけで嫌がる素振りは見せなかった。よかったと胸を撫で下ろす。
    「そういえば、コンビニで新発売のお菓子チェックした?」
    「いや、まだだけど」
    「帰りに一緒に見に行かない?」
    「断る理由がないけど?」
    「やった!」
     彼女は小さく拳を握って喜んでいる。カワイイ……てか、手、ホント小さいのな。
    「……七ツ森くん?」
     ボケっと彼女の手を眺めていたら、不思議そうに俺を呼ぶ彼女の声に我に返る。
    「教室、迎えに行くよ」
    「うん、ありがとう」
     今日の放課後、彼女と一緒に帰れる。コンビニだけじゃなくて、どっかに寄り道して帰ろうか。
     そう伝えたら、きっと彼女は楽しそうに嬉しいそうに微笑んでくれるに違いない。そして、その笑顔をいつまでも見つめていたいと思うんだろ、俺。
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    凜太(りんた)

    DOODLE人を好きになる経緯、色々。
    これはそのひとつの形。
    バ〇オとかのマップに落ちてる日記や手記、メモとかそれ系な感じのもの。それを拾って読んでいく感覚でお楽しみ頂ければ。七氏の心情の変化を感じてみてください。

    出会った頃の七氏の冷たさ、嫌いじゃないぜ。
    卒業前、普通から友好あたりまで。
    最後の「???」はオマケのエクストラステージ(?)
    七ツ森氏視点、マリィさんは元気いっぱい名無し子さん。
    移ろいと確信。SCENE1

    「な、な、つ、も、り、くーん!!」
     どこからともなく自分を呼ぶ声がする。それも、遠くから。
     マジで勘弁して……。
    「な、な、つ……あ!おーい!」
     校舎を見上げると、窓の一つから手を振る人物が目に入る。
     俺が見上げていると、彼女は笑顔で大きく手を振っている。
     トテモゲンキデスネ……。目立つようなコトをしないでもらいたいんですが?
     俺は手を振り返さずに、無視するコトにした。


    SCENE2

    「七ツ森くん!今日もかっこいいね」
    「……それはドーモ」
    「そういえば、昨日ね、七ツ森くんがはばチャで……」
    「待て」
    「え?……あっ」
     彼女は慌てて自分の口を押さえる。
     時々ポロッと出てくるから困る。バレたらどうすんだ。ホント、マジで勘弁して。最近、俺をNanaって呼ばなくなったと思ったら今度はこうだよ、勘弁してくれ……。
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