金木犀/ひとりよがりの恋金木犀/ひとりよがりの恋
私の好きな人は、ちょっと変わっている。マイペースで、いつもぼーっとしてて、無表情で、口を開けばピョンピョン言っている。バスケ部の特待生で、高校の頃は全国で一番バスケが強い学校のキャプテンだったらしい。
背が高くて、いつも変な寝癖がついてて、手のひらが大きくて、いつもスエットやジャージ姿で全然おしゃれじゃなくって、優しくて、笑顔が可愛い。私の好きな人。
「深津くん、おはよー」
「山内さん。おはようピョン」
「あはは! おはようピョン~」
教室の隅にいる深津くんに駆け寄って、一つ離れた隣の席に腰を下ろした。月曜一限の授業なんて真面目に来ている学生はほとんどいない。教室の座席はガラガラだ。平日は毎日バスケ部の朝練があるらしく、深津くんは一限の授業も余裕なのだという。私はなんとか深津くんと同じ授業を取るのに必死で早起きしているっていうのに。
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