オセロゲーム②「好きだ。銀八」
突然の土方からの告白に、ホッチキスを動かしていた銀八の手がピタリと止まる。
夏休みが終わり学校もようやく平常に戻ってきたかなといった頃、銀八はエアコンの効いた国語準備室で、土方と2人で明日の職員会議用の資料をせっせと作っていた。
二学期にもなると、進学する生徒にとって『受験』の二文字がいよいよ現実味を帯びてくる。クラスの雰囲気もピリピリと緊張感に溢れ、その担任ともなれば、ナーバスになっている生徒がいないかなど、いつもよりも余計に神経をすり減らす事になる。
会議の資料作りは確かに教師の持ち回りだが、せめて三年生を担当している教師は、任を免除すべきではないか!と銀八は校長に直談判した。だが、ハタ校長からは「なに言ってんの。あのクラスにそんな心配いる?」と一瞥された。
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