おやすみなさい、良い夢を行為に疲れ果てた辻ちゃんは、今日も気を失うみたいに果てた後眠りについてしまった。そうなったら後処理をしてあげるのがおれの役目で、おれは出来る限り辻ちゃんの身体を綺麗に清め、風邪を引かないようにとタオルケットを掛ける。横向きで少し丸くなって眠る辻ちゃんの背中を合わせるように、おれも反対向きになりスマホを手に取った。
——寝れない。最近どうも、寝付きが悪い。
身体は疲れているはずなのに、どうも眠れなくて、おれはぼんやりと液晶を眺め続けた。
しばらくして、後ろからゴソゴソ動く音がする。振り返って目をやれば、「せんぱい……?」といつもより数段甘い声が聞こえた。掠れているのに、甘いその声はこういう時の辻ちゃんからしか聞こえない声で、おれはそれが大好きだった。おれが腕を上げれば、辻ちゃんははっきりとしない意識の中でも頭を上げて、その下に腕を通させてくれる。それが通じ合ってるみたいで嬉しい。腕枕をした辻ちゃんは、そのまま当たり前みたいに引っ付いてきて、少し覆い被さるようにおれの身体に腕を回した。
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