メリークリスマス『交通機関の乱れが予想され……』
『不要不急の外出は避けるよう呼びかけ……』
繰り返し流れるアナウンサーの声に澄晴はうんざりした。
クリスマス寒波。なにも今年に来なくても。
去年はまだ付き合ってなかったから、辻と恋人として過ごせる初めてのクリスマスだったのだ。
ハロウィンの喧騒も収まらない頃からデートスポットをリサーチして、チケットの予約もお店の予約も済ませてあったのに。
自分で予約をキャンセルするのも、辻に『残念だけど、また今度デートしようね』とメッセージを送るのも気が滅入る。
「……はあ、も~」
やり場のない怒りをため息と共に吐き出すと二番目の姉の明里が、
「アンタそれ何度め? 私だって予定潰れて最悪なんだから、やめてよ」
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