Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    みみみ

    @mmm_scboy

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 110

    みみみ

    ☆quiet follow

    おとゆ村春の収穫祭に出荷したスカアスです。ED後世界線でも頑固にいちゃついいてほしい推しカプ。

    引っ越し*



     スカーとアステルはギルベルト王の強い勧めで、結婚後二人の新居を構える事になった。
    「スカーさんッ……これは、ここに置いておいて良いですか?」
     振り返った先で覚束ない足取りで重たい荷物を運ぼうとするアステルを見るなり、スカーはギョッと目を見開いて慌てて彼女の傍に駆け寄りアステルが荷物を落とさなように手を添える。
    「いけない、そう言う重たい物は私が運ぶから、君はあちらの軽い荷物を運んでくれ」
     それが自分を慮っての事と分かっていながら、アステルはどうしても納得がいかなかった。
    「私だって誇り高き獅子騎士団の女騎士です、これくらいの荷物一人で運べます!!」
     子供じみていると分かっていながらも、それでもスカーに早く追いつきたい、肩を並べたい、そんな気持ちが先走ってしまいついカッとなって言い返してしまう。
    「あの、すみません私ッ……」
     ハッとした顔でうろたえるアステルに、スカーは目を細める。
    「ほら、手を離しなさい」
    「……はい」
     素直に荷物を手放したアステルを愛らしく思いながら、荷物をそっと床に降ろした。
    「また私の言葉が足りなかったようだな、すまない」
     拗ねて顔を背ける仕草が、幼い頃のミュゼルカに重なりスカーの口元が緩む。
    「わ、笑わないでくださいッ」
    「いや……笑ったのではないんだ、君があまりにも愛らしくてつい……」
     率直なスカーの言葉にアステルの頬がボンッと音がしそうな程真っ赤に染まる。
    「子供みたいな言い分なのは分かってます……でも……」
    「君を子供扱いなどしていない、それに君は本当に立派な騎士だ、私の背中を任せられる唯一無二の存在だ」
    「じゃ、じゃあ!」
     アステルの言葉を遮るように、跪いたスカーがその白くて小さな手を恭しく握った。
    「だが今は、私の妻だ……自分の妻に重たい物を持たせたくない、これは私の我儘なんだ、分かってほしい」
     スカーの言葉に、アステルははにかみながらも真っ直ぐにスカーの瞳を見つめる。
    「でも、やっぱり私はスカーさんの妻として肩を並べられるようになりたいんです」
    「ハハッ、君は相変わらずだな」
     真っ直ぐなアステルの言葉にスカーは笑いながら立ち上がる。
    「では、二人で運ぼうその方が早く終わる」
    「はい!そうしましょう」
     そうして荷ほどきの続きに取り掛かるため、二人は仲良く並んで玄関へと向かった。



    -END-
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤💞💞💞👏👏👏🙏😭💞💒❤❤👫📦🏡💕💕👏👏👏☺👍🎉🌂🎉🎉😊😊
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    moonlight_32111

    DONE■レオマレ■診断
    ベッタ再録
    ■片思いレオマレにしてみた。
    ↓診断結果
    もなかのれおまれさんには「終わりが見えない」で始まって、「君の名前を呼んだ」で終わる物語を書いて欲しいです。季節を感じる話だと嬉しいです。
    #書き出しと終わり #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/828102
    終わりが見えない。
    嫌われているのに、これ以上相手に嫌われるのは・・・・。
    いつからこの思いが自分の胸を甘い痛みとなって身体を蝕んでいるのかもう忘れた。
    自覚なんてしたくなかった。こんなに苦しいなら。
    諦めようと何度もひと目がつかない場所で、静かに涙を流してしまうというのに。
    「それも青春のひとつじゃ」
    リリアに相談したが、楽しそうに微笑まれて何も解決もしなかった。

    月夜が学園に振り注ぐ。
    マレウスは日課である廃墟巡りに向かうため、寮をこっそりと抜け出した。
    静寂に包まれた目的の廃墟までの道のりで、今日も一人物思いに耽る。
    今日こそは、歪み合わずに話をしようと決めていたのに駄目だった。
    どうやったら、普通に話すことが出来るのか。ほんの少しでいいから歪み合わずに話すことはできないか。
    そんな考えが頭を駆け巡り、答えがなかなか出てこない。簡単に相談出来る内容でもない。
    ひとりで考えても答えが出ないとわかっている。気軽に相談出来る友がいないのであれば、相談することも難しいだろう。
    悩んでいるマレウスを嘲笑うかのように、月の光は闇夜を照らす。
    溜息を一つ零すと、目的の廃墟まで向かっていた足が 1215