ロランベリーシロップ ジャム作りで余ったロランベリーを分けて欲しい、と切り出したルガディンにいくらでもどうぞ、とヴィエラは返した。
「独り占めするの?」
彼女の問いにそんなつもりはない、と彼は苦笑した。
「腐らせるぐらいならシロップでも仕込んでおこうかと思ってな」
シロップ、と繰り返した彼女が難しいの?と首を傾げる。いや、と必要な器具を準備しながら彼は返す。
「火を使わない分、ジャムより手軽だとは思う」
砂糖に手を伸ばした彼を眺めながら、見てていい?と彼女が尋ねる。ご自由に、と彼は笑った。
細かく賽の目に刻んだロランベリーをスプーンで掬い、煮沸消毒した瓶に入れていく。瓶の底一面に満遍なく敷き詰めた上を埋めるように砂糖を加え、またロランベリーを均等に詰めては砂糖で埋める。詰めて埋める作業を刻まれたロランベリーがなくなるまで交互に繰り返した。
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