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    1_raru3

    ブレワシリーズ書いてます。
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    ダブクロパロで司と類の話。コードネームを決めましょう。
    書いているうちに類の想いがだんだん重くなってしまって困惑したけど書いていて楽しかった。

    その者の名は“獣の王”校も再開し、司もワンダーランズ×ショウタイムへの所属が決まって、ついでに晶介によってフェニランのアルバイトも決まってはや数日。司と類は拠点の訓練室で司のオーヴァードとしての訓練を行なっていた。
    「さて、これからオーヴァードとしての仕事も始まるにあたって、大事なことがひとつあるんだ」
    「なんだ?FHやジャームと命のやりとりをすることは既に覚悟済みだが…?」
     きょとんとした顔で聞き返す司に、類はくすりと笑う。
    「あぁ、それは確かに1番大切なことだ。けれどそれとは別ベクトルで大切な話なんだけどね」
    「なるほどな。で、その“大事なこと”とは何だ?」
    「司くんのこの世界における通り名…コードネームさ」
    「コードネーム?」
    「あぁ。UGN(うち)でもFH(むこう)でもはたまた別の組織でも、オーヴァード達の世界というある意味での裏社会に所属している以上、実名で動くのはなかなかに危険なんだ。それはイリーガルでも同じ。お互いの最低限の身バレの防止に大きなところとの連絡にはコードネームを使用しているんだ」
     オーヴァード世界におけるコードネームの大切さを類は語る。大人しく話を聞いていた司がふむ、と相槌を打った。
    「大切なものだということはよくわかったぞ!しかし、どうやってそれを決めるんだ?」
    「基本的に自分か仲間が命名する形かな」
    「そうか!それではオレはペガサステンm…」
    「そこで僕にいい提案があるのだけど」
    「おいっ!」
     堂々と名付けようとした司の声をさらっと類は遮る。
    「君のも結構個性的で君らしいと思うのだけれど、ここは僕の付けさせてくれないかな。絶対に、気に入ってもらえると思っているから」
    「むぅ…そこまで言うなら聞いてみようじゃないか」
     自分の提案を止められて最初は不満げであった司だが、絶対に気に入ってもらえると言う類のお願いを聞く姿勢になった。
    「で?オレに相応しいコードネームというのは?」
    「フフ、焦らないでも今から言うから。僕は、君のコードネームは“獣の王”がいいと思うんだ」
    「キング…オブ…ビースト…確かに格好いいとは思うが、何故だ?」
    「どうだろうね?…強いて言うなら、君の能力を使った姿が、そう見えたから、かな」
     そう答えた類は、あの司にとっての始まりの日を回想する。
    (僕には、あの時の君が本当にそのように見えたんだ)
     暴走者を探して階段を降りて見つけたその姿。その片手を獣のそれへと変化させ、その手元で魔眼を輝かせてFHのオーヴァードを圧し潰していた彼。類の背に隠れてしまってその時の司をしっかりと観察できなかった寧々は気が付かなかったであろう姿。類が暴走した司の正気ではないその瞳を見た瞬間、類の背筋はぞくりと震えた。力の殆どは構成員に向けられていたけれど、制御出来ずに階全体に向けられていたその重力とは別に、彼の立ち姿から強い威圧感を感じた。
    (僕は、あの時の司くんが、確かに“獣の王”に見えたんだ。あの瞳、あの佇まい、そしてバロールの重力だけじゃない、確かに感じたあの圧倒されるような威圧感。あれを王と言わずに何をそう言えばいいのだろう?)
     暴走者である司を保護しなければならないという意志でこれ以上の思考をする事を防ぐ事はできたが、類は今でもときたまこの光景を思い出す程にその姿は強く記憶に刻まれていた。だから。だからこそ。
    (僕は、彼に、司くんに“獣の王(これ)”を名乗って欲しい。僕の勝手な欲望だし、わがままだけど。王の名を背負って、堂々と戦っている君が見たいんだ、司くん)
    「どうしたんだ、類?ぼーっとしているぞ?…はっ、まさかオレへの訓練のしすぎで疲れてしまったのか!?すまん、すぐに休もう!」
     思考の海を漂っていた類の瞳を司が覗き込む。は、と類が気が付く頃には司の思考は頓珍漢な方向へと向かっていて、類を休憩室へとぐいぐいと引っ張ろうとしていた。
    「ま、まって司くん!僕は大丈夫だから!ストップ!少し前のことを思い出していただけだよ!」
    「…む、そうか。元気ならばいいんだ」
    「…それで、司くん。僕の付けたコードネームは気に入ってくれそうかい?」
     多少不安気に類は司の意見を聞く。提案したはいいが、実際にその提案を受け入れるかどうかは司の自由。ついでに司には類の脳内にある理由のうちの1割も満たないようなものしか語ってはいない。類は、司が自分の想いを受け入れるかどうか、不安だった。
    「ん?オレは好きだと思ったぞ!お前は多くは語らなかったが、お前の中の大切な想いがあることもなんとなく感じ取れたからな!その想いと名を受け取って、オレは戦おうではないか!」
    「…!ありがとう…!」
     その名を司が受け入れたことに、類は安堵した。司の方はというと、「“獣の王”…良い名だな…」などと呟いている。大層お気に召したらしい。
    「さて、類!こうやってコードのが決まったわけだが、オレはどうすればいいんだ?オレの方から謙さんや晶介さんに伝えればいいのか?」
    「あぁ、そこは僕の方でやっておくよ。とりあえず今日のところは訓練もあがろう。少し休んで帰ろうか」
     類はどこか嬉しそうな顔をしながらそう言った。その笑顔に触れた司もあぁ、と笑って返事をした。非日常の話が終わるとそこはもう日常。ショーユニットである彼等はこれからの日常について語りながら家路へとついたのであった。
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