Make us who we are 彼の角が折れたときのことは、いまでも鮮明に思い出せる。
頭上に角を持つ種族には大まかに二種類あって、一生ずっと角が伸び続けるタイプと、ある程度の年齢で止まるタイプだ。サルカズは後者で、だからエンカクの角はおおよそ成長期が終わるころにはあの長さだったらしい。
「いちいち長さなど計測してはいないが、今の身長になったのとほぼ同じくらいだったはずだ」
右側に一本の大角、左側に二本の小角。左右非対称なのは珍しいとうっかりこぼせば、そんなのは傭兵の中にはごまんといたと鼻で笑われた。
「栄養状態が悪く短いままの奴もいれば、戦闘中に折れる者もいる。珍しいものではない」
「じゃあもうこっちのは一生伸びないのか。ふふ、かわいいなぁ」
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