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    さくらい

    @kirakadokira

    既刊の書き下ろしとかXに載せたけど消した話とか短歌のまとめ

    ☆quiet follow
    POIPOI 23

    さくらい

    DONE連泉、現パロ。以前から書きたいと思っていたビールフェスに行く連泉です。こいさやの原稿が終わったので浮かれて書きました。私の浮かれ具合が伝わっていたら嬉しいです。なお、連城がキャラ崩壊気味というか心の声がやかましいです。お許しください。
    ※モブの女の子が出てきます、こいさやの匂わせもあります。大丈夫な方のみよろしくお願いします。
    初めて書いた連泉なのでなまあたたかい目で見てやってください。
    RESERVED金曜、15時。まだ空は明るくて、外はどうしようもないくらいに暑い。
    俺の職場の最寄り駅で待ち合わせて、そこから電車で三駅。俺たちは今まさにクラフトビールフェスの会場についた。始まったばかりのビールフェスはまだそこまで賑わっていない。つまり今なら選び放題ということだ。
    前後左右、所狭しと醸造所ブルワリーのテントが立ち並んで、キッチンカーも出ている。隣の泉水は目を輝かせながらキョロキョロと四方に顔を動かしていた。
    「あっ、ねえ連城! 山梨のビールだって」
    「あれは? 神奈川……へー! 湘南かあ」
    「うーん、栃木のいちごのビールもおいしそう」
    「せっかくなら東北とか! 九州もいいなー、それか沖縄!」
    花火がひらいたように、パッと俺を振り返って笑う。
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    さくらい

    DONE蛍🔥/こいさや/小嶋家さんに頂いた現パロこいさやお家デートのイラストから勝手に小説を書かせて頂きました!
    正しい魔法の使い方先程からこの部屋には小池が鼻をすする音だけが響いている。

    たまには部屋でゆっくり映画でも観ようと、アウトドアな俺たちが珍しくインドアになった夜。スーパーで買った惣菜やピザなんかをそんなに広くもないテーブルの上に広げて、俺は洋梨の缶チューハイ、小池はビールを呑んでいた。二時間半の短期集中型だ。俺も小池もどちらかというと喋る方だが一言、いや、二言くらい短い会話をしただけでそれ以外は映画に集中していた。
    会話の内容も「音いっこ大きくする?」「ああ」とか「ビールでいいか?」「お、サンキュ」くらいのものだ。キッチンへ行く間もテレビから視線は外さなかったし、冷蔵庫から冷えたビールを取り出す時も耳はしっかりテレビの音に集中していた。リビングへ戻る靴下の足先がフローリングの上で滑りかけて、そうかスリッパを脱いだんだったなと気づいたりもした。玄関に置いてあるからつい履いてしまうんだが、ソファーに座りしばらくすると脱いでいる。しかも毎回だ。なんだか自分の家みたいで落ち着く、自分の家以上に気が抜ける。実家かと思う。居心地がよくて帰りたくなくなる、この部屋に来ると。毎回、泊まっていけよなんて言われるのを待ってしまう自分がいて、待っていたくせにいざ言われると一度は断ってみたり、渋ってみたりしてしまうんだが。
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    さくらい

    MOURNING蛍🔥/こいさや
    現パロ。狭山くんイメージ香水を作ったので香水作りに行くこいさやを書きました。
    選ばれしもの「香水?」
     買いに行きたい、じゃなく作りに行きたいと言われた時は驚いた。香水って作るもんなのかー、って。
    「この店だ」
     狭山に連れられて行った店は商業施設の中にあって、そこであいつはなにやら真剣な顔をして店員のお姉さんと話してた。てっきり一緒に選ぶのかと思ったのに「お前は適当にその辺見ていてくれ」と言われてしまい暇な俺は言われた通り適当にその辺に置いてあった香水の香りを手当たり次第に嗅いだ。
    (お、いい匂い)
    (甘ったる)
    (……草?)
    (どっかで嗅いだな……柔軟剤か?)
    (おーっ! これクレっぽい! あとで教えてやろ)
     十数種類も嗅ぐとさすがに鼻が馬鹿になってくる。遠目に狭山の方を見てみるとまだお姉さんとなにやら真剣な顔で話をしていた。【ご自由にお使いください】というラベルが貼られた小瓶には珈琲豆が入っていて、嗅いでみると鼻の中のごちゃごちゃした香りがいくらかマシになった。気を取り直してまたいくつか香水の香りを嗅いでから狭山の隣に行くと「香水を作りに行きたい、お前も付き合え」と言った割には話に入ってきてほしくないようで向こうへ行ってろと言いたげな視線を向けてくる。なんだよー、そんなにお姉さんと二人きりで真剣な顔で話すことがあるのか。仕方ない。店内はカップルや若い女の子のグループでいっぱいだ。みんな匂いを嗅ぎながらキャンキャンもといキャーキャー言っている。うふふ、あははと楽しそうな声も聞こえる。俺はきれいなお姉さんと二人で真剣に話し合う狭山の横顔を見つめてた。そんな顔久しぶりだ、と言うか滅多にしたことないだろ、俺にだって。でもそんな顔も好きなんだよなー。色んな匂いを嗅ぎすぎて俺は鼻どころか頭も心も色んな感情でぐちゃぐちゃになったらしい。リラックスとかリフレッシュとか森林浴、とか書いてあるものも嗅いでみたが全然落ち着けない。それどころかざわざわするしイライラもしてきて、なのにお前は変わらずきれいな顔してそこにいる。ここに俺がいるのにまるで眼中にないみたいに。なんだか初めて会った時のことを思い出した。俺に興味がない、眼中にないってツラしてツンとすましてたな。そんな俺と、興味なかったはずの男と楽しげに歩いてるお前が好きだ。なんだか照れくさくて、嬉しくなるから。でも今はちょっとだけ初めて会った時よりも遠く感じる。他人より、他人に感じるよ。
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