【アレ】は奴の鎧だ。
最近特にそう思うようになってきた。
「いけません。こんな所誰かに見られでもしたらどうします。規律が乱れます」
ツン、とした無表情でこちらを見向きもせず、お決まりの台詞をよこす部下に苦笑した。あの顔が昨晩私の下で溶けて、泣いて善がりながら何度も果てているのを知っているし、走らせる筆を止めない手で私の魔羅を物欲しそうに触れた事も私の髪に差し入れてめちゃくちゃにした事も体を清めるためのタライを…と部屋を出ようとした私の寝巻きの裾を掴んで行かないで下さいと不安げにしていた事も。全部全部知っている。
だのにお前というやつは、その軍服を身に纏っている時ばかりは私の手すらも拒む規律の鬼。あれもこれもなにもかも、知っている相手に取り繕ってなんの意味があるのかとも思うが、常に褥のままの月島であったならもうそれは月島ではないのだ。
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